2015年7月27日以前の記事
検索
コラム

「管理職は罰ゲーム」は続くのか?  負担を減らすより効く、意欲を再点火する“意外なスイッチ”(3/3 ページ)

管理職を担いたいと考える人が減っている。仕事や責任が増す一方で、部下の育成やキャリア支援、メンタルケアまで求められ、現場では疲弊も広がる。管理職が意欲を持って働き続けるには何が必要なのか。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

部下の信頼が管理職自身のモチベーションを高める

 注目されるのは、管理職が部下に対して抱く信頼感も、管理職自身のマネジメントへの意欲ややりがいに影響するという調査結果が出ていることだ。

 経営・人事関連の課題解決を支援するリクルートマネジメントソリューションズは、管理職(課長相当)が部下に対してどのような認識を持っているかWeb調査を実施。管理職430人分のデータを分析し、4月に公表した。

 上司の要求や目的を理解して働く、成果を上げようと精力的に働く、周囲の手助けをするといった部下の行動を「積極的支援」と命名。そうした行動をとっている部下が、自分の部署にはどの程度いると管理職が認識しているかを調べ、それがマネジメント業務にどのように影響しているか、相関関係を統計的に分析した。

 管理職は「積極的支援」の行動をとる部下が多いと認識しているほど、部下の優れた点や努力を積極的に評価するなどの「関係構築」にやりがいを感じている傾向がみられた。部下の成果を把握し、適性を見極めるといった「育成支援」にも、充実感を持つ傾向があることが分かった。部下への信頼には、管理職自身のモチベーションを高める効果があるわけだ。

 さらに「積極的支援」をする部下が多いと認識しているほど、部下を持つ管理職としての役割が自分に合っていると感じる、自分は成長したと思う、といった「適応感」につながっていることも明らかになった。

 下の立場から言い出しにくいことを職場で拾って上司にぶつける、自分の評価が下がることになっても正しいと判断したら主張するなど、部下の「建設的な批判」の行動が、管理職の心理にプラスの影響を及ぼし得るとの結果も出ている。

 管理職が、部下の間に「積極的支援」が広がっていると感じ、さらに「建設的な批判」行動も多いと認識している場合、自分は管理職として高い成果をあげていると意識する傾向がみられた。部下への信頼が管理職のやりがいを多様な形で高めるといえるだろう。

「あうんの呼吸」に頼らないコミュニケーションを

 リクルートマネジメントソリューションズの入江崇介研究主幹は、管理職がリーダーシップを発揮するには組織内の信頼関係が重要になると強調する。相手が自分を頼りにしている、信頼してくれていると感じることで、自分も相手を信頼するようになり、それがまた相手に伝わって互いの信頼関係が深まっていく。そんな好循環を作れるかが問われる。

 「例えば感謝の気持ちを言葉で表現することも大事になる」(入江氏)

 「あうんの呼吸」ではなく「言語化」を意識したコミュニケーションを心掛けるべきだという。互いの意思や意図を明確に伝え合うことは信頼関係を築く第一歩だからだ。

 企業の間では管理職がやりがいや熱意を持てるようにと、年収の引き上げなど処遇改善に踏み出す動きが出ている。マネジメント業務をめぐる管理職からの相談に対応する体制が大切という指摘もある。

 しかし、金銭的な報酬やサポートの仕組みを整えても、組織内の信頼関係を欠いていれば管理職のモチベーション向上の効果を十分に得られるかは疑問だ。他者との関係性で気持ちの持ち方は大きく変わるためだ。管理職ポストの再生に向けて企業は試行錯誤を覚悟する必要がありそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る