「クレームがない=いい接客」ではない 斎場スタッフが語った深すぎる接客論:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
「答えのない仕事」といわれる接客業の中でも、他業種と比べて次元の異なる奥深さがあるのが、「斎場スタッフの接客」だ。ベテランの斎場スタッフ2人に「接客の真髄」を聞いた。
「クレーム」を想像する
これは、サービス業の「あるある」と言ってもいいかもしれない。仕事に慣れ、経験を積み重ねていくと、「客側はこういうのを求めている」という考えが強くなって、自分がベストだと考える「自分流のおもてなし」を客側の意向に関係なく、一方的に押し付けてしまう。
一般の飲食店ならば「ガンコ店主のこだわり」として好意的に受け取られる可能性があるが、大切な人を失った悲しみに寄り添う場でそうなることはない。これは斎場スタッフならではの視点だが、その考え方は「クレーム」にも当てはまる。
それが(2)「言われていないクレーム」を想像せよ、というものだ。
よくサービス業では「クレームは成長のチャンス」というようなことが言われる。理不尽な言いがかりや誹謗中傷のようなものは論外だが、クレームの中には、自分たちでは気付けなかったサービスの「穴」や、さらなる改善点を教えてくれることがあるからだ。そのため、成長企業の中には寄せられるクレーム対応をカスタマーセンターなど顧客対応部署だけに任せず、経営企画室など社長直轄の部署で管理しているところもあるほどだ。
山田さんの考えも全く同じなのだが、そこからさらに一歩進んでいるのは「言われていないクレーム」を想像することで、自分たちのサービス改善につなげようとしている点だ。
「例えば、若手の収骨を後ろから見守っている際に、遺骨の納め方にまだ慣れていないせいか、ちょっと違うな……と思ったことがあるんです。そこで参列者の表情を観察したら、中には、私と同じように違和感を抱いているように見える方もいた。そこでその方の気持ちを想像してみて、どう感じただろうか……と。もしクレームを入れるとしたら、どこに不満や違和感を抱くだろうか、と突き詰めて考えていくんです。実際には誰からもクレームを入れられたわけじゃないですけどね」(山田さん)
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