フジクラ社長「データセンター市場、10年は堅調に伸びる」 生産拡大で「3000億円投資」に踏み切ったワケ
光ファイバーケーブル大手のフジクラは2025年中期経営計画を1年前倒しで達成し、次の成長局面へ踏み出した。同社はAIインフラ市場の拡大をどう見通し、その先にどのような成長機会を描いているのか。
生成AIの爆発的な普及に伴い、世界ではデータセンターの建設ラッシュが続いている。このメガトレンドを追い風に、2025年中期経営計画を1年前倒しで達成したのが、光ファイバーケーブルを手掛けるフジクラだ。
5月19日に発表した2028年度までの新中期経営計画では、これまでの「守りの選択と集中」から「攻め」への転換を明確に示し、2026年度からを「第4の創業期」と位置付けた。
今回策定した新中期経営計画では、最終年度である2028年度の財務目標として売上高1兆6000億円、営業利益3150億円を掲げた。人材や資金をデータセンターの構築に不可欠な光配線ソリューションを提供する情報通信事業へ集中投下する。
営業利益は2026年3月期の1887億円に比べて6割以上増える見込みだが、市場の高い期待を満たせず、株価は下落した。
同社は、データセンター向けの光ファイバー製品に加え、コネクターや融着接続機、施工提案までを一貫して提供できる点を強みとする。こうした総合力を背景に、米ビッグテックからの引き合いも強い。
さらに、2025年10月には米国商務省と枠組み合意書を締結し、米国の生成AIインフラ強化における光ファイバーケーブル供給者に選定された。
急拡大するデータセンター需要を背景に、同社は日米で最大3000億円の成長投資を進める。
フジクラは現在のデータセンター市場の課題と今後の伸長をどのように捉え、戦略を描いているのか。2028中期経営計画説明会の内容から読み解く。
「少なくとも10年は伸びる」 フジクラが読むデータセンター市場
足元では、米国のハイパースケーラーによる大型投資がデータセンター市場をけん引している。
「現在、米国のハイパースケーラーを中心に、データセンター用の電力確保のため、原子力発電所の建設を進めている例もあります。原発が稼働するまでに7〜10年かかると言われおり、少なくともこの約10年は、データセンター市場での需要は堅調に伸びていくと見込んでいます」(岡田直樹社長)
さらに、同社は今後、各国が自国でAI開発やサービス提供を進める「ソブリンAI」の流れを受けて、政府主導のデータセンター投資が世界的に拡大するとも想定している。
生産能力を4倍へ 日米で最大3000億円投資に踏み切る理由
グローバルでの大きな需要を確実に取り込むため、フジクラは日米で最大3000億円の戦略的成長投資に踏み切る。
内訳は、日本で400億円、米国で最大2600億円を想定し、コア製品である高密度光ファイバーケーブル「SWR/WTC」を中心に、生産能力を2022年度比で約4倍に引き上げる計画だ。
工場や設備の新設・増強には10年近いリードタイムを要するため、この3000億円の投資は、新中期経営計画(2026〜2028年度)には含んでいない。同社が見据えるのは、2035年度に売上高2兆8000億円、営業利益5800億円規模へ到達する長期的な成長シナリオだ。
AI需要の先にある「電力問題」を見据えた戦略
長期ロードマップにおいて、次なる成長の布石として位置付けられるのが、次世代クリーンエネルギーとして期待される「フュージョンエネルギー」(核融合発電)関連ビジネスの本格化だ。
岡田社長は、データセンター市場の拡大における課題の一つとして、大量の電力消費と環境負荷を挙げる。
米国で建設が計画されている最大級のデータセンターでは、消費電力が10GW(ギガワット)に達する例もあり、社会課題として浮上している。
この膨大な電力需要とカーボンニュートラルを両立する方法として期待されるのが、核融合発電技術だ。
核融合発電には「磁場閉じ込め方式」と「レーザー方式」の2つがあるが、フジクラはその双方に基礎技術の提供が可能。すでに国内外のスタートアップから注目を集めているという。
同社は、超電導線材の生産能力を2022年度比で6〜8倍に引き上げる投資も並行して計画しており、2030年代後半の商用化を見据えて展開を進める。
足元の需要取り込みと次世代技術への先行投資を両輪に、同社は中長期の成長戦略を描く。
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