「SaaS is Dead」でも採用激化? 「作れるだけ」のエンジニアが淘汰されるワケ(3/4 ページ)
生成AIの進化を背景に「SaaS is Dead」論が、SNSや投資家向けの論考を中心に広がっています。一方、SaaS業界の採用市場は縮小することなく、むしろ強化する企業も目立ちます。しかし、求める人材の条件が大きく変化しました。AIによるSaaS開発が容易になった今、企業が求めるIT人材の条件とは何なのでしょうか。
SaaSの価値が変わりつつある
生成AIの進化によって「作ること」のハードルは大きく下がりました。一定レベルのSaaSであれば、短期間で開発すること自体は簡単になったといえるでしょう。しかし、開発できることと、運用できることは全く別の問題です。
例えば、下記のような問いに対して「AIが生成したものだから説明できない」という理屈は通用しません。
- システム障害が起きた場合、誰が責任を負うのか
- セキュリティインシデントに対して、どう説明するのか
- 監査に対して、どのようなプロセスで開発・確認されたかを示せるのか
AIはアウトプットは得意ですが、その正しさを保証し、責任を引き受けることはできません。だからこそ問われているのは、プロダクトをどう作るかではなく「どう運用し続けられるか」です。言い換えれば、運用可能性と説明責任を担保できることが、SaaSの価値の中心へとシフトしているのです。
求められるようになった「FDE」という役割
この変化を象徴するのが、FDE(Forward Deployed Engineer)の広がりです。
FDEは、プロダクトを提供するだけでは解決できないラストワンマイルの領域で、顧客の現場に入り込み、業務、データ、運用まで含めて最適化を行う役割を担います。採用市場においても、FDEあるいはそれに近い役割の需要は明確に増加しています。AI SaaS企業に限らず、既存のSaaS企業でもこの機能を組織として内包する動きが広がっています。
なぜ、こうした役割が求められるようになったのでしょうか。
理由はシンプルで、プロダクト単体では価値が出なくなってきているためだと考えられます。AIの進化によって「機能を作ること」自体は容易になった一方で、価値創出のボトルネックが、
- 現場の業務にどう適用するか
- データをどう整備するか
- 意思決定プロセスにどう組み込むか
に変化しました。
実際、多くの企業で「AIを導入したが使われない」という課題が発生しています。これは技術の問題ではなく、業務とツールをつなぐ工程の問題です。
FDEは、このギャップを埋める存在としてSaaSの進化そのものに大きく寄与しています。SaaSはもはや単なる機能提供ではなく、業務、データ、現場をつなぎ、価値を出すモデルへと変化しています。
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