日本酒市場の縮小、どう乗り越える? クラフトサケウィークに見る活性化のヒント:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
縮小傾向にある日本酒市場。そんな日本酒を盛り上げるイベント「クラフトサケウィーク」が開催された。今回で10回目となる同イベントだが、そこから日本酒市場再活性化のヒントが見えてきた。
シーダに注目
企業とレストランのコラボで特に目を引いたのは、味の素が2024年に発売しただしの新ブランド「SIIDA(シーダ)」だ。今回のイベントでは、東京・学芸大学の居酒屋「件(くだん)」とコラボ。特別メニューを提供するレストランブースを展開した。
件は2004年に東京・学芸大学駅前の裏路地にオープンした、おでんと日本酒が売りの居酒屋だ。関西風の透明なだしを使ったおでんをはじめ、日本酒が進む多彩な料理を取りそろえる。蔵元との深い付き合いにより、都内でも同店でしか飲めないような幻の酒が楽しめるのが特徴だ。
昨年もシーダと件のタッグで出店し、「だし漬け枝豆」などが好評だった。今年はメニューを一新し、だしが効いたソーセージやだしがらを混ぜ込んだえいひれなどの創作メニューで挑んだ。
シーダは通常オンラインで商品を販売している。ただ、今回はレストランとは別にブースも設け、実際にパッケージを手に取り、だしの試飲もできる物販ブースも出店した。
シーダのだしパックは、「焚(HUN)」「燻(KUN)」「酵(KOU)」の3種類がセットになっている。「焚」はたき火を思わせる力強い風味、「燻」はスモーキーで芳醇な風味、「酵」は発酵・熟成させた本枯れ節を使った上品でまろやかな味わいが特徴だ。
(筆者撮影)
ロングセラーの「ほんだし」で知られる味の素だが、シーダではかつお節を一般的なだしパックより増量。機械では代替できない職人の手仕事の魅力を製品化した。大量生産の調味料をイメージする味の素らしからぬ、「クラフトだし」の商品だ。
シーダという商品名は「だし」を逆から読んだもので、だしの常識を覆したいという思いが込められている。だしになじみが薄い世代に、その魅力を広げたいという味の素の姿勢は、日本酒の新たな価値を伝えようとするクラフトサケウィークの方向性とも重なる。
なお、出店のメリットとしては、生活者のリアルな声や感想を聞くことができ、製品へのフィードバックに活かせる点が大きいという。
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