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マイル庶民化で激化する「地上戦」 決済額300万円のANA、生涯伴走のJALに見る勝算(4/4 ページ)

日系大手のANAとJALの両社は、自社のマイルを基盤とした「金融・プラットフォーム企業」への変革に活路を見いだしている。「移動の提供」だけでは維持できないインフラコストを、いかにしてマイルプログラムをベースとした決済サービスによって回収するのか。両社の戦略の違いから、マイル経済圏の展望を読み解く。

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「マイル経済圏」はブランドを傷つけないのか

 両社の戦略を俯瞰すると、一つの大きな問いが浮かび上がる。顧客の生活をマイルで縛る行為は、航空会社というブランド価値を、毀損(きそん)するのではないかという問いだ。航空会社として築いてきたブランドを、単なる「ポイントカード」へと貶めてはいないだろうか。

 航空会社とは本来「安全」「憧れ」といった無形の信頼により、そのブランド価値が支えられてきたといっても過言ではない。

 SFCにおけるルール改定が大きな反響を集めた理由の一つに、航空会社の上級会員制度が「ポイ活」と化していた影響もある。飛行機の搭乗実績を稼ぐためだけに、例えば「羽田=那覇」を何度も往復するという“修行僧”の行動が繰り返された。上級会員制度がいわば“庶民化”したことによって会員数が増え続け、両社ともルール改定に踏み切らざるを得なくなったのだ。制度の“庶民化”と“ポイ活化”は、ブランドの希少性を毀損し続けてきたといえる。

 この事態に対し、ANAは既存・新規を問わず「決済額」によって、一律に顧客を区分した。対するJALは、既存顧客の権益を守り「既存顧客を大切にするホスピタリティ」を死守した。両社の対応に明確な違いが出たのだ。これは、単なる規約の違いではなく「航空会社というブランドをどう定義するか」という経営思想の違いを反映している。

 生活の全てをマイルで縛る企業戦略の先に、真のCX向上が伴っているのだろうか。航空会社のボラティリティを回避するために構築したはずの「マイル経済圏」が、逆にそのブランドを空洞化させてしまっては本末転倒だ。

 マイル経済圏の覇権争いが今、両社の「誠実さ」を問うている。

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JALでも以前「JGC修行」が流行したが、JAL Life Statusプログラム導入とともに下火になった(筆者撮影)

著者紹介:シカマ アキ

大阪市出身。関西学院大学社会学部卒業後、

読売新聞の記者を経てフリーランスの

ジャーナリスト・フォトグラファーとして活動中。

主な取材分野は、旅行、飛行機・空港、官公庁や自治体、スポーツなど。

国内外で、雑誌やWebなど向けに取材、執筆、撮影などを行う。

ニコンカレッジ講師、空港や旅行会社などでのセミナーで講演活動も。

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