昔の海外旅行パンフレット、なぜ「誰もいなかった」のか 今どきの写真と比べると面白い:週末に「へえ」な話(2/3 ページ)
PIXTAの20年分のデータを分析すると、旅行写真の主役は「絶景」から「体験」へと変化していた。LCCやSNSの普及、円安などを背景に、日本人の旅行観そのものが変わり始めている。
生活感のある写真が人気
ところが2010年前後になると、旅行写真の主役が変わり始める。転機となったのが、LCCとスマホの普及だった。
航空券の価格が下がったので、記者の周囲でも「週末にちょっと香港に行ってくる」といった人をよく目にするようになった。Wi-Fi、スマホ、Googleマップの普及によって、現地を移動しやすくなったことも大きい。旅行会社の添乗員に案内されなくても、スマホさえあれば、なんとかなる時代に変わっていったのだ。
このころに存在感を増したのが「女子旅」の写真である。現地のカフェでくつろぐ。雑貨店を巡る。料理をシェアする――。単なる記念ショットではなく、そこでどう過ごしたかを切り取るカットが目立ってきたのだ。
昭和に青春時代を送った世代からすれば、記念撮影といえば正面を向いてピースサインである。ところが、写真の撮り方そのものも、このころから変わっていった。
自然に笑っていたり、あえて目線をそらしたり、後ろ姿を見せたり。いわゆる自然体のカットが増えてきたが、もちろん、計算なしに撮れたモノばかりではない。偶然撮れたように見せる”演出力”が問われるようになったのだ。
ところが、2010年代半ばになると、再び「正面を向いた写真」が増えていく。背景にあったのが、自撮り棒(セルフィースティック)の普及だ。自撮り棒を使って「みんなで一緒に写る」スタイルが広がり、旅先での写真も、より自分中心になっていった。その一方で、混雑した場所では「危険」「迷惑」と問題視される場面も出てきた。
ちょっと話がそれてしまったが、2010年代の後半になると「インスタ映え」が社会現象になる。行き先を決める基準も、「有名観光地だから」だけでなく、「ここで撮りたいから」という理由へ変わっていった。
ただ、最近はその”映え”にも変化が出てきている。いかにもつくり込まれたキレイすぎる1枚よりも、少しブレていたり、生活感があったり、そんな写真のほうが好まれるようになったのだ。
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