昔の海外旅行パンフレット、なぜ「誰もいなかった」のか 今どきの写真と比べると面白い:週末に「へえ」な話(3/3 ページ)
PIXTAの20年分のデータを分析すると、旅行写真の主役は「絶景」から「体験」へと変化していた。LCCやSNSの普及、円安などを背景に、日本人の旅行観そのものが変わり始めている。
ターニングポイントは「SNSの登場」
ところで、冒頭で紹介した「誰もいない絶景の写真」は、消えてしまったのか。もちろん、そんなことはない。旅行会社のパンフレットを見ると、キレイなビーチや有名観光地の写真は掲載されている。しかし、過去20年のデータを見ると、そうした素材の割合は相対的に減っている。
では、最近はどんな写真が人気なのか。地方の市場、サウナ、ワーケーションなど、“近場を楽しむ”体験をテーマにした素材だという。円安の影響で海外旅行のハードルが上がり、遠出が以前ほど気軽ではなくなった。その分、仲のいい人たちと近場でゆっくり過ごす旅に注目が集まっているのだ。
この20年を振り返ると、ターニングポイントはどこにあったのか。加藤さんの見立てによると、「SNSの登場」である。SNSが普及する前は「この1枚を使う!」といった具合に、厳選する人が多かった。
ただ、Twitter(現在のX)やInstagramなどの登場によって、写真を大量に投稿する傾向が強まった。しかも、求められるカットは人によって異なる。旅行が多様化したように、素材にも、さまざまなシーンが使われるようになったのだ。
考えてみると、記者の周囲でも「有名観光地には行ってないけれど、地元スーパーの総菜コーナーが最高だった。都会では見かけないモノが売っていたから、買ってきたよ」という声を聞くようになった。
そのうち、旅のマウントも「五つ星ホテルに泊まってきたよ」ではなく、「旅先のスーパーで、半額シールが貼られた弁当を見つけたよ」といった自慢に変わっていくのかもしれない。
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