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「給料分しか働きたくない」と言う、“静かな退職者”の大きな誤解「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/3 ページ)

「給料分しか働きたくない」という言葉に潜む、根本的な“誤解”とは。

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AIの台頭が「静かな退職」を陳腐化させる

 さらに見過ごせないのが、AIの急速な台頭だ。

 「言われた仕事しかこなさない」といった静かな退職の典型的な働き方は、まさにAIが最も得意とする領域だ。定型的・反復的な業務処理、情報の整理と要約、決まったフォーマットでの報告書作成。こうした業務はすでに、AIが人間より速く、安く、正確にこなし始めている。

 給料分しか働かないと宣言した瞬間、その人はAIとのコスト競争に参加したことになる。そしてその競争に、私たち人間は勝てるのだろうか。AIを本気で使っている人ほど、強く危機意識を持っていると思う。

 何よりも怖いのは、AIは疲れず、不満も言わず、静かな退職もしないことだ。


「言われた仕事しかこなさない」という発言は、AIとのコスト競争への参加表明になる

「給料分」を稼ぐとは

 結局のところ「給料分」働くためには、依頼された仕事をこなすだけではダメで、常に創意工夫を続けることが重要だ。

 では、創意工夫する力はどうやって身につけるのか。最後にこれを解説したい。

 創意工夫には「質問」が必要だ。目の前の問題をぼんやりと眺めるのではなく、切り口を変えながら問い続けること。そうすることで、初めて本質が見えてくる。

 これには、安岡正篤氏の「思考の3原則」が参考になる。

  1. 長期的な視点
  2. 多面的な視点
  3. 本質的な視点

 この3つの視点で自問自答するクセをつけることだ。

 例えば「売り上げが伸びない」という問題に直面したとする。「どうしたらいいんだろう……」と悩んでいても何も変わらない。ここで3つの視点から問いかけてみる。

 まず長期的な視点だ。

 「この問題はいつから続いているのか」

 「5年後も同じことが続いたらどうなるか」

 このように時間軸で考えると、問題の深刻さと変化の必要性が浮かび上がる。

 次に多面的な視点だ。

 「競合他社から見たらどう映るか」

 「お客さま側から見たら何が足りないのか」

 「他部署から見たら何が問題に見えているか」

 このように、自分の立ち位置だけで考えていると、見えない景色がある。だから別の視点を利用して”問い”を立ててみる。

 そして最後に、本質的な視点だ。

 「そもそも、何のためにやっているのか」

 「本来の目的は何だったのか」

 日々の業務に追われていると、この問いがおろそかになりやすい。だから、たまに立ち止まってこのような自問自答をしてみよう。

 「給料分」のボーダーラインが上がり続ける時代に、創意工夫ができる人とできない人の差はドンドン広がっている。静かな退職者が「言われたことをこなす」だけで止まっているとしたら、それはこの問いかけをやめているからに違いない。

 静かな退職を続ける部下に、この現実を丁寧に伝えること。それが、管理職の大切な仕事の一つではないか。

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