ANAのサービスに、「席すら選べなくなったのか」 新料金体系が物議をかもしてしまった、納得のワケ(3/3 ページ)
ANAが発表した国内線の新料金体系が物議をかもしている。
「ベーシックエコノミー化」する会社が増えている?
ANAの新料金体系は「ベーシックエコノミー」に沿った考え方だと筆者は考えている。ベーシックエコノミーとは、従来通りの座席を備えつつ、サービス水準を下げたランクの事だ。標準的なサービスを受けるには、追加料金が必要なLCCの台頭に伴い、欧米のフルサービスキャリアを中心に導入が進んだ概念である。例えば「座席指定ができない」「受託手荷物を有料とする」などの施策がある。
ベーシックエコノミーは一見すると料金が安く見えるが、従来通りのサービスを受けたい客が追加料金を支払うため、客単価は上昇する。一部報道によると、デルタ航空はベーシックエコノミーの導入により、四半期で数十億円規模の収益改善が見られたという。
国内線の状況は各社とも芳しくない。国土交通省が5月に公表した資料によると、国内線の旅客数は2023年度にコロナ禍以前の水準まで回復したが、比較的高単価のビジネス利用は回復していない。高単価客の減少に伴い、主要6社の国内線事業の収益は2024年度に赤字化している。この間に燃料費や人件費も上昇した。ANAによる今回の新料金体系も収益改善が狙いとみられる。
ANAの料金改定によって一時的に国内線の収益は改善するかもしれないが、導入により体系が分かりにくくなり、フルサービスキャリアらしさが失われることになる。一定数がJALに流れ、客数は減少するかもしれない。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
【注目】ITmedia デジタル戦略EXPO 2026夏 開催決定!
◆ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏 | ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏 ◇トライアルのDX経営◆
【開催期間】2026年7月8日(水)〜8月5日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】本講演では、トライアルが推進してきたDX経営の取り組みについて、実例を交えながら紹介します。店舗で収集したデータを活用した売り場づくりや、インストアサイネージによる顧客接点の強化、パートナー企業との共創による新たな価値創出など、テクノロジーを事業成長につなげる実践事例を解説。小売業におけるDX推進のヒントをお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「空港ラウンジ混みすぎ問題」も影響か ANA「ステータス制度改悪」に“マイル修行僧”の批判が殺到した背景
ANAがステータス制度の改定を発表した。これまでより“厳格化”するような内容となっており、いわゆる“マイル修行僧”たちからは批判の声があがっている。
「わずか50席」離島に住む人が使うプロペラ機に“マイル修行僧”殺到で大迷惑 JAL多良間島騒動が起きてしまった根本原因
今年の初め、国内の離島で騒動が起こった。島民たちのライフラインである1便50席のプロペラ機に、マイル修行僧が殺到したのだ。なぜこんなことが起こってしまったのか。

