セルフ給油、実はスタッフが手動で許可していた!? コスモ石油の「AI監視」は消えゆくガソリンスタンドを救うか(3/3 ページ)
従来のセルフ式ガソリンスタンドでは、利用者が給油ノズルを手にした後も、スタッフが安全を確認した上で給油を許可している。この監視業務をAIで支援する取り組みが動き出した。コスモ石油マーケティングとELEMENTSは、AIが給油許可を判断する監視システムを共同開発。背景には、人手不足やサービスステーション数の減少といった業界課題がある。AIはガソリンスタンドの現場をどう変えるのか。
目指すのは人員削減ではなく生産性向上
AiQ PERMISSIONの狙いについて、長谷川氏は「人の仕事を奪うのではなく、人が本来やるべき仕事に集中できるようにすること」だと話す。
SSでは給油以外にも、洗車やオイル交換、リース提案などさまざまな業務が存在する。車に関する相談対応や顧客とのコミュニケーションなど、人にしかできない価値提供も少なくない。
AIが通常時の監視を担うことで、スタッフはこうした業務により多くの時間を割ける可能性がある。
インフラ維持と新たな店舗運営モデルへ
コスモ石油マーケティングは現在、コンビニ大手セブン-イレブンとの複合型店舗の展開なども進めている。給油と買い物を同じ場所でできる利便性に加え、店舗運営でも新たな可能性が期待される。
AiQ PERMISSIONを活用することで、同一敷地内であればコンビニ業務と給油監視を組み合わせることも将来的には考えられると藤本氏は説明する。
また、同社では公式アプリを活用したデジタル化や、スタッフが給油や窓ふきなどの一連の作業を実施するフルサービスSS向けの業務効率化施策も進めている。大規模なセルフ式SSだけでなく、地方や過疎地のSSも含めて生産性向上を図ることが今後のテーマだという。
現在、AiQ PERMISSIONは関東の4店舗のSSで実証運用が続いている。現場からは大きなトラブルや誤判定の報告はなく、安定して運用できているという。
今後は特約店向けにも説明を進めながら、2026年7月から秋頃にかけて10〜30店舗規模で導入を進める計画だ。その後、評価を踏まえながら本格展開を目指す。
人口減少や人手不足は、多くの企業にとって避けて通れない課題だ。両社の取り組みが改めて伝えるのは、業務の自動化の本質は、人手をなくすことではなく「限られた人材をどう生かすか」という点にこそあるといえそうだ。
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