「IT人材が採れない」は問題ではない “名ばかり”内製化を推進する企業が見落とす「3つの空白」(4/4 ページ)
DX推進の機運が高まる中「内製化」を掲げる企業は増え続けています。多くの企業は、IT人材の確保を急ぎがちですが、内製化と採用を成功させるための本質はどこにあるのでしょうか。
採用計画と事業計画のズレをどう埋めるか
前述した3つの空白は、採用フェーズではなく計画フェーズの設計不足から来ることが多いです。では、どのように対処すればよいのでしょうか。
まず大切なのは、採用計画をフェーズ分けして考えることです。内製化を一気に完成させようとせず、まずは小さく始めて成功体験を積みながら体制を広げていく考え方が現実的です。
初期フェーズでの最優先事項は「内製化の旗振り役」と「技術的意思決定者」の確保です。
実際、内製化が進んでいる企業では、計画の序盤で「意思決定ができる人材」をポジションに置くことができているケースが多いです。そういった企業では、大手事業会社でCxOを務めた経験を持つような、技術と事業の両方を語れる人物が初期メンバーにいることも少なくありません。その1人が採用基準を作り、技術方針を定め、後から入るメンバーの質も引き上げていく役割を担っています。
次のフェーズで、開発を担うエンジニアを順次採用していきます。このとき、採用する職種と人数は「何を作るか」から逆算することが重要です。事業上の課題が明確であれば、必要なスキルセットも自然と絞られてきます。
もう一つ重要なのは採用要件の柔軟性です。理想の組織図を描き、それに合致する人材だけを採ろうとすると、採用活動が長期化し、現場はいつまでも人手不足のままになってしまいます。応募が集まってきた人材の特性に合わせて、組織設計を柔軟に変えていく発想も必要といえるでしょう。
IPAの「DX動向2025」によると、DXを推進する人材像を設定・社内周知している割合は、米国は10.0%、ドイツは18.9%でした。一方、日本企業では評価基準が「ない」と回答した企業は75.7%に上りました。
採用要件の言語化ができていないことが、採用難をさらに加速させているといえます。「どんな人材が欲しいか」を言語化するプロセス自体を、採用計画の一部として組み込むことが求められます。
「採用できた」を「機能する組織になった」に変える
IT人材の獲得競争が激化する中、「優秀な人材を採用できた」こと自体は確かに成果といえるでしょう。
しかし、採用はあくまで手段です。重要なのは、その人材が「機能する組織の中で力を発揮できるかどうか」です。
採用支援の現場から見えるのは「人が足りない」という課題の多くが、実は「設計が足りない」という問題であるということです。
- 何を内製化するのか
- 誰が意思決定を担うのか
- どこまでを自社で持ち、どこを外部と協業するのか
こうした問いに向き合わないまま採用だけを急いでも、内製化は“名ばかり”のものとなり、形骸化を招きます。内製化を成功させる第一歩は「採用を始めること」ではなく「どんな組織をつくるのか」を定義することではないでしょうか。
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