インタビュー
毎月280件の改善案、ラインごとの損益公開 売上高過去最高の「無線機メーカー」を支える工場の仕組み(3/4 ページ)
無線機を国内で作り続けるアイコムの工場には、社員全員が毎月1件の改善提案を出し、ラインごとに損益が見える独自の生産方式が根付く。人手不足の時代に、改善が途切れず、現場がコストを自分ごとにする仕組みを取材した。
毎月1件は「改善案」を提出 月280件に、なぜ途切れない?
IPSを支えているもう一つの柱が、改善提案の仕組みだ。和歌山アイコムでは全社員が毎月1件、改善提案を提出する。その数は月平均で約280件に上る。
特徴は、提案のハードルを高くしないことにある。大きな成果をもたらす業務改革案である必要はなく、作業を少し楽にする工夫や、ムダを減らすアイデアでも構わない。1提案につき200円を支給するほか、優れている提案は表彰し、追加報酬を支給する。提案はどんな内容でも否定せず、必ず何かしらの形で改善につなげる。
例えば、コイルを巻く工程で使用する銅線に着目した社員がいた。それまで機械で切り落とされる銅線の一部は廃棄していたが、機械を改良することで利用できる部分を増やし、廃棄量を削減した。その結果、銅線の使用効率が向上し、月間約5600円のコスト削減につながった。
効果が大きくない提案もあるが、小さな改善を積み重ねることで、品質向上やコスト削減につながる。もちろん、毎月必ず提案を出すのは、現場にとっては負担となる。
「社員にとっては、なかなかのプレッシャーのようだ」と田中氏。それでも続けるのは、改善を特別な活動ではなく、日常業務の一部として定着させるためだ。提案のハードルを下げ、小さな成果でも評価し、提案を実行する。その積み重ねが、改善が途切れない文化を支えている。
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