工場に「失敗してもいい場所」を作ったら何が起きた? アズビル湘南工場の「けしからん挑戦」(3/3 ページ)
工場は、決められた作業を正確にこなす場所――。そんな常識に挑む取り組みが、アズビルの湘南工場で始まっている。社長の「もっと、けしからん工場になってほしい」という一言をきっかけに誕生した実験場「KASETZ」では、社員の創造性を引き出すユニークな仕掛けが次々と生まれている。
KASETZが変えた工場のコミュニケーション
KASETZはコミュニケーションにも変化をもたらしている。
湘南工場には複数の建物(棟)があるが、従来は「用事のない部署や他の棟には行ってはいけない」という暗黙の雰囲気があったという。しかし、KASETZができたことで、現場の空気が変わった。
「KASETZをきっかけに違う棟の人とも交流するようになり『ちょっと別の棟に行ってきます』と言って、気軽に他の棟へ足を運ぶことが増えました。また、仕事で『これやってみたいけど自分の技術じゃ無理だな』と思ったときも、KASETZで知り合った人の顔が浮かび『あの人ならできるかも、助けてもらおう』と、業務のコミュニケーションにも良い循環が生まれています」(生産3部 生産3グループ 倉持由香さん)
さらに、役職を超えたコミュニケーションも活発になった。工場長がKASETZでドローンを飛ばしていたり、社長が来客を連れて訪れたりといった姿も見られているという。
現在、KASETZは新入社員の見学ルートとしても定着し、社内SNSを通じてKASETZを知った他拠点の社員から「行ってみたい」との声も集まっている。
「多くの人が関心を持ってくれているので、そこから実際にKASETZに来て、参加してくれるメンバーを増やすことが次のステップです」(島崎さん)
また、社内だけでなく、社外の人を巻き込んでイノベーションを加速させる構想もあるという。
「淡々と作業をこなすだけ」と言われた工場は今、社員一人一人が自ら動き、新たな挑戦が次々と生まれる場所へと変わり始めている。
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