「バルコニーなし」の住宅が5年で約3倍に、なぜ? 背景にある“働き方”の変化:家から消えるもの、増えるもの(3/3 ページ)
新築住宅からバルコニーや和室が減っている。かつて当たり前だった空間は、なぜ姿を消しつつあるのか。住まいの変化から、現代の暮らし方を読み解く。
バルコニーや和室が減っている分、どんなスペースが増えた?
では、バルコニーや和室が減る一方で、近年増えている空間はあるのだろうか。
佐藤氏によると、根強い人気があるのが「パントリー」だという。パントリーとは、食品や飲料、日用品などをまとめて保管する収納スペースを指す。ネット通販の利用拡大やまとめ買いの増加を背景に、食料品や日用品をストックしやすい収納へのニーズが高まっている。生活感をできるだけなくすため、冷蔵庫までパントリー内に設置するケースもあるという。
キッチンは、壁から離れて独立した「アイランドキッチン」が人気だという。キッチンにいながら、部屋全体を見まわせるメリットがある。横にダイニングテーブルを配置し、食事だけでなく在宅ワークや子どもの勉強スペースとして活用するケースも増えているという。
個人の過ごし方の変化も、間取りに影響を与えている。家族全員でテレビを見るのではなく、それぞれがスマートフォンやタブレットで好きなコンテンツを楽しむライフスタイルが広がる中、「ヌック」と呼ばれる小さな居場所も人気だ。
ヌックとは、リビングの一角や階段下などに設ける、1〜2人がくつろげる小さな空間のことだ。個室として完全に区切らず、小さな書斎、読書スペース、お昼寝空間などに使われる。家族の気配を感じながらも、1人で趣味などを楽しめる点が支持されているという。
佐藤氏は「こうした変化の背景にはSNSの影響も考えられる」と話す。Instagramなどでは収納術やインテリアに関する投稿が数多く発信されており、住まいづくりの参考にする人が増えているようだ。
和室や畳が見直される可能性も
減少が続くバルコニーや和室は今後どうなるのか。佐藤氏によると、バルコニーは今後もしばらく減少傾向が続く一方で、和室については価値が見直される可能性もあるという。
現在、畳や和に関わる職人の減少や後継者不足が課題となっている。こうした状況を受け、2026年3月に閣議決定された国土交通省の「住生活基本計画」では、「和の住まい」の価値を見直すことや、伝統技能の継承、人材育成などの方向性が盛り込まれた。
佐藤氏は「国土交通省の取り組みが、和室や畳が見直されるきっかけになるかもしれない。暮らし方に合わせて柔軟に使える空間として、畳の魅力を発信してきたい」と話した。
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