「東京41万円、青森26万円」18年で最大 賃金格差はなぜ広がったのか:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
東京都と地方の賃金格差について、厚生労働省が「都市部への大企業の集中」を理由に挙げているが、本当にそうだろうか。日本に根強く残る「大企業中心主義」がもたらす悪循環とは。
歴代首相の裏ミッション
本連載で繰り返し述べてきたが、自民党候補者の選挙は、全国の商工会や商工会議所による組織的な応援で支えられている。その中心を担っているのが、地域の中小企業や小規模事業者である。高市首相に限らず、歴代首相は中小企業が窮地に立たされるような「最低賃金引き上げ」は、なるべく骨抜きにするというのが、裏ミッションだったのだ。
しかし、石破茂前首相はそこに異を唱えて「2020年代の全国平均時給1500円への引き上げ」を打ち出した。
日本では2020年代に入ってから、政府が「賃上げ」の重要性を掲げ、賃上げ促進税制、モノづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、業務改善助成金など、さまざまな支援策を打ち出して、多額の公的資金を投入してきた。そんな国を挙げての「賃上げ運動」もあって、確かに連合の春闘集計で賃上げ率は高水準の5%台となった。
だが、大企業や労組のある企業がいくら賃金を上げても、その恩恵を受ける人は限られる。日本の労働者の約7割は中小企業に勤めており、その多くは従業員数が数人規模の小規模事業者で働いているためだ。
つまり、日本は低賃金で働く人が多い国なのだ。こういう国で実効性のある賃上げをするには、「最低賃金の引き上げ」しかない。そういう意味では、石破前首相の方針には一定の合理性があった。
というと、「最低賃金を引き上げたら中小企業が次々と倒れて地方に失業者があふれるぞ」という声もあるが、高度経済成長期ならともかく、今の日本は外国人労働者を230万人も迎え入れなくてはいけないほど「人手不足」の状態だ。つまり、「最低賃金の引き上げへの対応が難しい零細企業」で働いていた低賃金労働者は、本人が希望すれば、これまでよりもっと良い賃金・待遇で働くことができるのだ。
しかも、そうした考え方に基づいて「最低賃金の引き上げじゃなく、中小企業が自主的に賃上げできるように補助金などで支援をしろ」と積極財政をいくら推し進めたところで、地域間の賃金格差は解消されないし、日本経済が大きく改善するとは考えにくい。
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