「東京41万円、青森26万円」18年で最大 賃金格差はなぜ広がったのか:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
東京都と地方の賃金格差について、厚生労働省が「都市部への大企業の集中」を理由に挙げているが、本当にそうだろうか。日本に根強く残る「大企業中心主義」がもたらす悪循環とは。
厚生労働省が出したコメントのワケ
さて、ここで気になるのは、なぜ厚生労働省の担当者は「都市部への大企業の集中が結果に反映された」などと、最低賃金の地域格差に触れない説明をマスコミにしたのかということだ。
「忘れていた」のか、「マスコミがそのコメント部分をカットした」のか。理由は分からないが、「政権への忖度(そんたく)」があった可能性も否定できない。
もっと分かりやすく言えば、官邸から「政権の足を引っ張るようなことを話すな」と厳しく叱責されることを避けるため、意図的に賃金の低さを最低賃金と結び付けなかった可能性もある。
というのも6月26日、2026年度の最低賃金額を決める「目安審議」が始まったためだ。中央最低賃金審議会が各都道府県の地方審議会に示す引き上げの目安を決める手続きで、今年の改定額を左右する。
そういうセンシティブな時期に加えて、今、高市政権はこの夏に発表する「日本成長戦略」をまとめており、そこでは石破前政権が掲げた「2020年代の全国平均時給1500円への引き上げ」を見直す方向で調整に入ったとの報道がある。
- 最低賃金「全国平均1500円」先延ばし 政府が目標見直しへ(毎日新聞 2026年6月25日)
このように「最低賃金」を巡って高市首相を筆頭に政権中枢がピリピリしている最中に、厚生労働省の役人がマスコミの取材に対して「東京と地方の賃金格差が広がっているのは、最低賃金の地域格差がえげつないことになっているからですよ」などと、そう簡単には口にできないだろう。国家公務員は「国民全体の奉仕者」である一方で、霞ヶ関でのし上がっていくには政権との関係にも配慮しなければならないからだ。
そう考えると、「地域間の賃金格差は都市部への大企業集中のせい」という謎解説も納得だ。低賃金は大企業が少ないせいということにすれば、これを解決するには、国が積極的に投資をして大企業を誘致したり、中堅企業を大企業へとスケールアップさせたりしなくてはいけない。
「最低賃金の引き上げ」はなるべくブレーキをかけて「積極財政」によって財政支出を拡大すれば、日本の賃金は上がっていくはずだという、高市政権の「経済観」とピタッとフィットするコメントだ。
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