シンガポールのドンキで飛ぶように売れる 1パック2000円の「日本産イチゴ」を支える技術とビジネスモデルとは(3/5 ページ)
品種開発から販売までを一貫して手がける農業スタートアップ、CULTA。AIと人工環境を使う高速育種でイチゴの品種開発を大幅に短縮し、独自品種を東南アジアなどに輸出する。手本は、キウイで世界市場を築いたゼスプリ。品種開発とマーケティングを一体で握る「垂直統合」で、農業の構造転換に挑む。
品種開発から販売まで 「垂直統合型ビジネスモデル」
高速育種で生んだ品種を、どう売るのか。ここに、事業成長の核となる「垂直統合型ビジネスモデル」がある。従来は、品種を開発する人、生産する人、販売する人がそれぞれ別だった。これに対し、CULTAは品種開発から栽培(委託)、収穫物の全量買い取り、ブランド化、販売・輸出までを一貫して担う。
このモデルなら、消費者ニーズを起点に品種を設計できる。例えば香港や東南アジアの一部地域では、春節などの節目に高品質なフルーツを贈る文化があり、白やピンクのイチゴは、希少性や見た目の華やかさからギフト需要とも相性がよいという。だが従来のこうしたイチゴは見た目の珍しさが先行し、味が伴わずリピートされにくかった。
「珍しい色というだけで味が伴わなければ、一度は手に取られてもリピートされない。色を変え、そこに食味を掛け合わせれば買い続けてもらえる」と野秋氏は話す。何が売れるかを自社で把握しているからこそ、市場ニーズに合わせて、輸送性や食味に優れた品種を開発できる。
また、このモデルは生産者側にもメリットがある。CULTAは開発した品種の栽培を生産者に委託し、収穫したイチゴを原則として全量買い取る。生産者が売れ残りのリスクを負わずに、新品種の栽培に取り組めるようにする狙いがあるという。さらに、品種ごとの栽培方法の違い(温度管理や肥料の量など)を生産者に共有することで、品質の安定化を図っている。
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