シンガポールのドンキで飛ぶように売れる 1パック2000円の「日本産イチゴ」を支える技術とビジネスモデルとは(4/5 ページ)
品種開発から販売までを一貫して手がける農業スタートアップ、CULTA。AIと人工環境を使う高速育種でイチゴの品種開発を大幅に短縮し、独自品種を東南アジアなどに輸出する。手本は、キウイで世界市場を築いたゼスプリ。品種開発とマーケティングを一体で握る「垂直統合」で、農業の構造転換に挑む。
ゼスプリに学んだ「品種一つが事業を変える」という発想
この垂直統合モデルの手本が、キウイで世界市場を築いたニュージーランド企業「ゼスプリ」だ。野秋氏がゼスプリから学んだことは、大きく2つある。事業の競争力を左右するのは品種開発だということ。もう一つは、その品種開発とマーケティングを同じ主体が担うことだ。
その考え方を象徴するのが、ゼスプリが開発したゴールド系品種だ。従来のグリーンキウイに加えて投入したゴールド系品種が、ゼスプリの成長をけん引してきた。その勢いは現在も続いている。報道によると、2025〜26年シーズンの世界販売額は59億ニュージーランドドル(2026年6月のレートで約5500億円)に達し、過去最高を記録している。野秋氏は「品種一つが事業に与えるインパクトが、これほど大きいのかと驚いた」と振り返る。
品種とマーケティングを一体で担う強みは、販売戦略にも表れている。ゼスプリはゴールドとグリーンの売り場構成を国ごとに変えているという。日本や中国では甘みの強いゴールドを前面に出す一方、欧州では手ごろな価格でビタミンCを摂取できるグリーンを多く並べる。
「フルーツを食べる理由は、国によって異なります。どの国にどの商品を出すかは、品種開発とマーケティングをセットで持っていなければ取れない戦略です」と野秋氏は説明する。
CULTAも同様に、市場ごとに求められる色や味、輸送性を備えたイチゴを開発し、自社ブランドで販売する。品種開発から販売までを一貫して担うからこそ、「どの国に、どんなイチゴを届けるか」まで設計できる。
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