「普通に満足」だけでは、もう選ばれない? ユニクロ、セコマの事例にみる「感動のツボ」の設計(1/3 ページ)
顧客満足度を高めるうえで重要なのは、単に不満をなくすことでもなければ、やみくもに感動を演出することでもない。「極端な満足」を得るために、顧客との関係性に合わせて体験を設計していくことだ。
商品やサービスの機能が似通い、利便性だけでは差別化が難しくなっている。生成AIの普及がコモディティ化に拍車をかける中、企業は顧客との接点をどう作っていけばいいのだろうか。
そこで指標となるのが、顧客満足度だ。
マーケティングを専門とする小野譲司・青山学院大学教授は、顧客満足データを基にCX(顧客体験)と感動体験の関係などを研究・分析している。
顧客満足度を高めるうえで重要なのは、単に不満をなくすことでもなければ、やみくもに感動を演出することでもない。顧客との関係性や利用回数に応じて体験価値を設計し、さらにその体験を記憶に残す仕組みまで考える必要があるという。
ゲーム開発のセガエックスディー(セガXD、東京都新宿区)主催のメディア向け勉強会に登壇した小野氏の講演「CXの最新トレンドと感動体験で育てる顧客満足度」の内容を紹介する。
「普通に満足」だけでは差別化できない時代に
例えば、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート。
いずれも私たちの生活に身近なコンビニエンスストアのブランドだが、それぞれの違いを明確に説明できる人は決して多くはないだろう。機能面では一定水準に達し、大きな差別化が難しくなっているためだ。
その中で顧客から強く支持されるブランドには、何らかの感情的な要素が存在するのではないか。
こうした仮説のもと、小野氏は、日本生産性本部が実施する「JCSI」(日本版顧客満足度指数)の分析に携わる。同調査は2009年からスタートし、年間400前後の国内の企業・ブランドを評価対象に、全国から抽出した約12万人に「顧客満足」や「推奨意向」などを尋ねて数値化している。
JCSIの調査において、コンビニ業界で10年連続「顧客満足1位」となっているのが、北海道を地盤とするセイコーマートだ(※)。利用者の自由回答を分析すると、店内調理サービス「ホットシェフ」やプライベートブランド商品への愛着、店舗スタッフとのコミュニケーションに対する評価など、具体的な体験への言及が見られるという。
(※)参照:「2025年度 JCSI(日本版顧客満足度指数)調査 年間発表」より
小野氏によれば、従来の顧客満足度研究では、満足度の高さに比例するようにしてロイヤルティも高くなるという考え方が主流だった。実際に調査したデータを見ると、多くの顧客は中間的な評価をしがちだ。5段階評価でいえば3〜4の「普通の満足」のゾーンに当たる。
そこで注目されるようになったのが、最高評価の5をつけるような「極端な満足」を示す顧客の存在だ。
満足度が高いだけではなく「期待を大きく超えた」と感じる顧客は何が違うのか。その背景として浮上したのが、感動や驚きといった感情経験だ。
こうした議論が広がった背景には、1990年代以降のサービスの同質化があると小野氏は指摘する。
セイコーマートの事例が示すように、高い満足度の背景には、顧客が記憶する体験が確かに存在している。
しかし、顧客を引きつける要素は、「満足度」だけではないと小野教授は指摘する。
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