エンジニアの採用枠をトークン予算に回せるか? HRBrain常務が語る、「財布の壁」に挑む人事の未来(1/2 ページ)
HRBrainの常務執行役員CSaO小山径氏は「AIも、これからは経営資源の一つになっていく」と話す。小山氏が見据えるAI活用の展望とは?
コーディングもデプロイも終わった。さて帰って、一杯やるか──かつてのエンジニアの一日を、HRBrainの常務執行役員CSaO(Chief Sales Officer)小山径氏はこう振り返る。
同時に小山氏は「AIの登場により、エンジニアの一日がこの数カ月で変わった」とも指摘する。
例えば、エンジニアが帰る前にAIエージェントに仕事をアサインしておけば、夜の間にAIエージェントが対話しながらコーディングとデバッグを継続。翌朝、出社したときにはすでに、成果物が積み上がっている。深夜残業でも文句一つ言わず働き続けるAIエージェントは、まさに「効率化の優等生」だ。
AIは面倒な“新人”であり、経営資源でもある
小山氏はSalesforceに約19年在籍した人物だ。「SaaS」という呼び方がまだ一般的でなく「ASP」と言った方が通じやすかった頃から、クラウドが日本で当たり前になるまでを最前線で見てきた、筋金入りの“SaaS屋”である。
その小山氏が、AIエージェントを語るとき真っ先に口にしたのは「便利」でも「自動化」でもなく「育成」だった。「AIエージェントはしっかり育成して、学習させなければいけない。これは人によく似ていると思う」(小山氏)。育成、学習──AIの話のはずが、出てくる単語が新人研修めいている。
AIという新しい働き手は、電源を入れれば動く家電ではない。よく働くが、放っておくと使い物にならない一面がある。誰かが育て、手綱を握らねばならない。会社に、面倒な“新人”が増えたとも言える。
小山氏は「AIも、これからは経営資源の一つになっていく」と話す。買って終わりの道具ではなく、世話の要る資源だというわけだ。
人事が育てるのは「AIを使いこなせる人間」
AIという新人にコードを書かせ、出来栄えを確かめ、ダメ出しして覚え込ませているのは現場のエンジニアだ。人事ではない。人事が育てるのは、AIを使いこなせる人間の方だ。
従業員がAIを活用しながら生産性を上げていく時代において、一人一人がどれだけAIを使いこなせるかは、今後のタレントマネジメントで新しく問われる指標になっていくだろう。こうした人材をどう増やし、活用レベルをどう見極めるかが、これからの人事の仕事になる。すでにAIの使いこなし度合いを人事評価に入れる会社も出てきたが、実際にどう測るかはまだ手探りの状態だ。
小山氏が見据えているのもそこだ。
HRBrainは2026年4月、社内版生成AI「HRBrain Brain」を提供開始した。人材データと社内資料を横断検索・分析し、従業員の属性や権限に応じてパーソナライズされた回答を返すほか、人事・経営層による人材配置や組織分析の意思決定を支援する機能だ。これは、AI活用そのものを人材マネジメントの対象にしていく前段階を見据えた動きと言えるだろう。
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