焼肉店はなぜ急に苦しくなった? ロピアの急成長で見えてきた「新たな競合」:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
焼肉店の倒産件数が、統計開始以来2年連続で過去最多を更新した。大手チェーンの「焼肉きんぐ」がひとり勝ちになっているかと思いきや、焼肉店キラーといえるのは……。
自宅で焼肉を食べる頻度
マイボイスコムが2025年6月に実施し、1万1734人から回答を得た「焼肉に関するアンケート調査」(第5回)によれば、直近1年間に自宅で焼肉を調理して食べた人は7割弱。一方で「自宅ではほとんど食べない」は3割強だった。
この「焼肉は絶対に店で食べる派」だけを見れば、「小規模の焼肉店の倒産が増えているのは、焼肉きんぐのような食べ放題チェーンが客を奪っているからだ」という競合分析も正しいのかもしれない。
しかし、それはあくまで一部の消費者に限られ、焼肉を食べる人の多くは「自宅で焼肉を楽しみつつ、ときどき焼肉店にも足を運ぶ人たち」なのだ。
こうしたマジョリティの動きを踏まえれば、焼肉店の倒産増加とロピアの出店拡大には、一定の関連性がある可能性も考えられる。生活圏内にテレビやSNSで話題の焼肉セットを扱うロピアがオープンすれば、自宅焼肉の頻度は増える。つまり、近隣の焼肉店へ足を運ぶ機会が減る。芸能人やインフルエンサーのように、頻繁に焼肉を食べ歩ける人ばかりではない。家計を考えれば、自宅焼肉の機会が増えれば増えるほど、焼肉店に対する節約志向は強まっていくものなのだ。
これこそが、「肉のコングロマリット」であるロピアの全国への出店攻勢が、2024年に急増した焼肉店の倒産に影響しているのではないか、という筆者の仮説の根拠である。
ロピアを展開するOICグループは、「食のSPA」(製造小売業)ともいうべき体制を構築している。スーパーなどの小売だけでなく、焼肉店などの外食にも進出し、農産・水産を手掛ける会社を買収。さらに、養豚場などの畜産関連会社やしょうゆ・酢の製造会社まで傘下に収めているのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ「皮だけ」「ガリだけ」が売れるのか 販売データで見えたドンキ「偏愛めし」の買われ方
「ガリだけ丼」「皮だけフライドチキン」など、一見ネタのような商品が並ぶドン・キホーテの「偏愛めし」。累計1122万点を販売した裏側には、「誰かの120点」を追求する商品開発と、販売データから見えてきた意外な購買行動があった。
富士そば「外国人観光客お断り」は悪なのか 立ち食いそば騒動が問いかけた現実
庶民の味方である立ち食いそばに、外国人観光客が押し寄せる現象が起きている。外国人観光客お断りを示す店舗もあるが、「そば」が本当の意味でも世界に愛される日本食になるためにできることとは。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
セブン「スムージー半額騒動」の背景 若者はなぜコンビニから離れたのか
「コンビニ離れ」が加速する中、10代をターゲットにしたと思われるセールを打ち出してきたセブン-イレブン。店舗数を伸ばすドラッグストアの戦略を見てみると……。
