AIに企業理念を宿せるか? スポーツ小売り・ヒマラヤ、接客ノウハウまで学習した「AI副店長」開発の舞台裏(4/4 ページ)
スポーツ用品店をチェーン展開するヒマラヤ(岐阜市)は「アイダ つなぐ」と名付けた“AI副店長”を6月から全99店舗に導入した。同社店舗運営部の金丸智功氏(部室長代理)とヒマラヤスポーツ本館店長の高島雅央氏に、AI副店長開発の舞台裏を聞いた。
効率化を超えた、血の通ったAI活用
現在も課題として残るのは商品知識だ。ヒマラヤの店舗では20万点以上、多ければ30万〜40万点規模の商品を扱う。新商品も日々増えるため、情報を継続的に追加していく必要がある。実際、現場からも「商品の違いをもっと詳しく答えられるようにしてほしい」という要望が多く寄せられているという。
現在、ヒマラヤではAI副店長への質問内容を本部が確認し、現場スタッフから多く寄せられる質問を優先して学習内容へ反映している。今後は商品知識をさらに充実させる考えだ。メーカーごとの特徴や違いまで踏まえ「この用途ならこのメーカー」「こういう使い方なら別の商品も選択肢になる」といった提案ができるAI副店長を目指す。
金丸氏は将来的に、社内向けだけでなくECサイトでもAI副店長を活用することを見込んでいる。「商品を紹介するだけではなく、ヒマラヤらしい接客をオンラインでも再現し、必要に応じて実店舗への来店につなげる役割も期待する」(金丸氏)
接客業務の効率化から始まったヒマラヤのAI活用は、単なる業務効率化にとどまらず、50年かけて培った接客の価値観やノウハウをどう継承するかという、人材育成の目的も併せ持つ。
ベテランの経験を言語化し、AI副店長に落とし込む同社のプロセスは、手間も時間もかかる。しかし、こうした地道な取り組みこそ、テクノロジーを使って人間らしさを最大化させる、まさに「血の通ったAI活用」の好例と言えるのではないだろうか。
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