なぜ二股ソケットは大ヒットしたのか パナ創業者の商売術:大阪ビジネス(1/3 ページ)
学歴も資金もなかった松下幸之助は、なぜ世界企業パナソニックの礎を築けたのか。後発だった二股ソケットを大ヒットさせた発想力と商売術、そして現代にも通じる「水道哲学」の原点をたどる。
この記事は、書籍『大阪ビジネス』(大野雄斗/クロスメディア・パブリッシング)に、編集を加えて転載したものです。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
大阪から世界へと飛躍した企業の筆頭といえば、やはりパナソニック(旧・松下電器産業)を置いて他にないでしょう。
1918年(大正7年)、当時23歳の松下幸之助氏が、妻と義弟の3人で大阪市で「松下電気器具製作所」を創業したのが始まりです。
松下家は商売が失敗して一度破産しており、松下氏には学歴も資金もありませんでしたが、彼には運と商才がありました。尋常小学校を中退して奉公に出されていたときに出会ったのがサントリーの創業者・鳥井信治郎でした。
若くして経営の師匠を見つけたという奇跡。そして、奉公時代にタバコを買いに行かされた際、いちいち買いに出ずにまとめ買いしておけば、時間も値段も節約できると気づき、小銭を稼ぐなど、商売のセンスを磨きました。
その後、大阪市の路面電車を見て感動し、電気にかかわる仕事をしようと大阪電灯(現在の関西電力)に入社。そこで考案した電球ソケットで商売をしようと、一念発起して起業したのでした。
起業して最初に大ヒットさせたのが松下氏の代名詞ともいえる「二股ソケット」でした。当時の一般家庭における電気の普及はまだ始まったばかりで、家の中には電球を差し込むためのソケットが一つしかないのが当たり前でした。夜に電灯を灯せば、それだけでソケットは埋まってしまい、普及し始めていたアイロンなど他の電化製品を使うことができないという不便がありました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。
なぜファミマの「1998円腕時計」は完売したのか “ちょうどいい一本”がササった理由
ファミリーマートのオリジナル腕時計が発売10日ほどでほぼ完売した。コンビニで時計を買う時代が始まっているのだろうか。
IT人材は東京のどこに住んでいる? 首都圏の“知られざるテックエリア”を地図で見る
首都圏に集中するIT人材の居住傾向を可視化。中野や下北沢、五反田など、意外な“隠れたテックエリア”の分布や、若手エンジニアが選ぶ街の特徴をデータで読み解く。
「ググる」が死語になる日 Google検索が“入口”ではなくなった背景
Google検索よりもSNSやAIを使う傾向が、若い世代で強くなっている。Google検索においても、検索結果のAI要約機能により、個別のWebサイトへの誘導効果が低下。ビジネスでは検索順位よりも、AIやSNSを通じて商品などを発見されることが重要になりつつある。
家電売り場はなぜ“中国化”したのか 静かに進んだ日本メーカーの撤退劇
家電量販店では、中国製品が存在感を強めている。日本企業による家電事業の売却が進んだことなどが背景にある。一方、これは日本のものづくりの敗北を意味するわけではないだろう。
