なぜ二股ソケットは大ヒットしたのか パナ創業者の商売術:大阪ビジネス(2/3 ページ)
学歴も資金もなかった松下幸之助は、なぜ世界企業パナソニックの礎を築けたのか。後発だった二股ソケットを大ヒットさせた発想力と商売術、そして現代にも通じる「水道哲学」の原点をたどる。
現代風に言えば「コンセントが足りない」という状況です。
ここで松下氏が出した答えは、一つしかないなら二つに増やせばいいという、極めてシンプルな解決策でした。実は、当時すでにアメリカや、東京、京都では「二股ソケット」が販売されていました。では、なぜ後進組にもかかわらず、「松下氏といえば二股ソケット」というほどヒットさせることができたかというと、これまた理由はシンプルで、他社製品よりも使いやすく壊れにくく、しかも3割引きから半額にしたからです。
言葉にすれば簡単ですが、普通ならそんなことはできません。それを可能にしたのが松下氏の「既製品を使う」というアイデアでした。松下氏は、一流メーカーの古い電球のねじ込み部分を再利用し、無理難題を実現したのです。
こうして売り出された「二灯用差し込みプラグ(通称ニサシ)」を延長コードでつなぎ、手元で電球を使えるようにする「アタッチメントプラグ(通称アタチン)」は人々の生活を変えました。松下氏が「経営の神様」と呼ばれているのは、こうした個別のヒット商品以上に、彼が打ち立てた壮大な経営哲学にあります。
その代表が「水道哲学」です。ある時、松下氏は道端で通行人が水道の蛇口をひねって水を飲んでいる姿を見て、衝撃を受けます。水は貴重な資源なのに、誰でも安価に、そして自由に手に入れることができる。それと同じように、産業人の使命は、生活に必要な物資を水道水のように安く大量に供給し、この世から貧困をなくして文化的な生活を実現することにあると、松下氏は確信したのです。
これは単なる利益の追求ではなく、企業の存在意義そのものを社会貢献とした斬新な考え方でした。この水道哲学があったからこそ、パナソニックは安価で高品質な家電製品を次々と世に送り出し、日本の生活水準を底上げする原動力となったのです。
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