NEC森田社長が語る「脱・人月商売」の行方 組織の壁を破るAI人材育成法(3/6 ページ)
NECはAI時代に、いかにして稼いでいくのか。「BluStellar」(ブルーステラ)の収益構造、防衛・安全保障や海底ケーブルといった注力領域の戦略について、森田隆之社長がグループインタビューで語った。
「脱・人月」の新価格戦略 成果報酬とサービスの融合
――より幅広い能力を備えたエンジニアを育成していく必要があると思います。どのように人材育成や人材確保をしていくのでしょうか。
今までは、顧客への提案・助言を担うコンサルティングの部分、システムを構築する部分、その後の運用の部分で、組織も人材も分かれていました。そこを、システム構築を担う人材の強みを生かしながらAIを使い、競争力を上げていく必要があります。
例えば、レガシーシステムを最新技術で刷新する際、綺麗なスライドで抽象的な説明をするだけでは不十分です。システムの構造を熟知した人材がAIを駆使し、具体的な再構築案やコードをその場で提示していく。つまり、プロジェクトの初期段階から、どのような形でサービスを提供し価値を創出するのかという「仕組み」そのものを組み立てる役割が求められるのです。
こうしたアプローチの実践を通じて、これまで分断されていた組織の枠を越え、人材の流動化や活発な交流が自然と生まれてくると考えています。
――BluStellarは持続的な成長や利益率向上を掲げており、(継続契約を前提として繰り返し対価を得る)リカーリング型へシフトしていると思います。BluStellar事業の中で、リカーリング型収益の割合はどの程度を占めますか。また、いつまでにどの程度の割合を目指しているのでしょうか。人月モデルとのバランスのイメージもお聞かせください。
公表数値ではなく、あくまで私のイメージとしてお話ししますが、(リカーリング型の)サービスモデルは10%くらいだと思います。大雑把な話になりますが、2030年度には50%になっているくらいの気持ちで動いていかないといけないと思っています。
実現できるかどうかはこれからですが、3割は成果ベース、つまり顧客側での価値創出をベースにした収益モデルを目指していくイメージだと考えています。
――「提供価値を買ってもらう」というと聞こえはよいですが、ユーザーからすると、どんな契約・購買形態になるのでしょうか。
この話は0か1かではなく、ミックスになると思っています。顧客のマインドセットもありますし、成果報酬型だけで対価をいただくのは難しいのが実情です。仮に環境が整ったとしても、顧客側で予算の取り方を変える必要があるため、抵抗はあるはずです。そのため、ベース部分のサービスと成果部分をミックスした形が、徐々に導入されていくのだと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
NEC社長に聞く「フィジカルAI」の勝算 「AI・DX事業で1兆円」への手応えと課題は?
「フィジカルAI」の覇権争いが、いよいよ本格化する。なぜNECは「実世界」にこだわるのか。BluStellarがもたらす社内の変化と「AI・DX事業で売上高1兆円」への道のり、そして万博を経て「顔認証」が切り開く新たな展望について、森田隆之社長に聞いた。
NEC社長が語る経済安全保障 AIは“人間超え”、万博は“顔パス”――全方位戦略の正体
2025年、さまざまな領域で日本を支え続けてきたのがNECだ。全方位で攻勢に出た1年をどう総括し、2026年以降、日本をどこへ導こうとしているのか。森田隆之社長に、全方位戦略の展望を聞いた。
NECが万博で展開する顔認証 DXで培った「入場から決済まで」できる技術
大阪・関西万博の顔認証入場を可能にしているのが、NECの顔認証技術だ。入場だけでなく、会場内の店舗へも顔認証による決済方法を提供している。これを可能にした経緯には、NECの社内DXの取り組みも実は関係しているのだ。
NEC社長に聞く「成長戦略と人材変革」 ブルーステラ発足1年の課題は?
NECの価値創造モデル「BluStellar」(ブルーステラ)が、発足から1年を迎えた。この1年、BluStellarでNECはどのように変わったのか。BluStellarの進捗状況はどうなのか。森田隆之社長に聞いた。
NECの“眠らない要塞”に潜入 サイバーセキュリティ事業を強化したワケ
NECは、「.JP(日本のサイバー空間)を守る」をスローガンに、日本のデジタルインフラの安全性を確保するため、サイバーセキュリティ事業を強化する。
日本を守るには「国産AIが必須」──NEC社長、サイバーセキュリティ事業強化を熱弁
NECは、日本のデジタルインフラの安全性確保に向けて、サイバーセキュリティ事業を強化する。5月8日に開催したNEC サイバーセキュリティ事業説明会(住所非公表)で森田隆之CEOが発表した。
「NECのイベント」に富士通社員も登壇 オープンイノベーションに本腰を入れたワケ
NECが、オープンイノベーションに本腰を入れている。NEC Open Innovation Nightには富士通の社員も登壇。同社の取り組みの真意に迫る。
大手で進む出社回帰 NECは「リモート可→チーム出社率40%」をどう実現したのか
大企業を中心に、コロナ禍でリモートワーク導入が大きく進み、一部では生産性の低下を指摘する声も出てきた。NECではどのように働き方の変革を進めているのか。同社カルチャー変革統括部の担当者に聞いた。
NEC社長に聞く「生成AIとセキュリティの関係」 真のAIエージェントとは?
NECの森田隆之社長に、生成AI競争での同社の強みや、AIエージェントへの見解を聞いた。
AI競争は「Googleの圧勝」で終わるのか? Gemini 2.5 Proの衝撃
米国のテック系人気ユーチューバーの何人かが、こぞって「AI開発競争はGoogleが勝利した」という見出しの動画をアップしている。これでGoogleの勝利が決定したのかどうか分からないが、少なくともOpenAIの首位独走の時代は終わったのかもしれない。