「いっそ全員出社にしてください」 出社とテレワークの“不公平感”はなぜ生まれるのか:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/4 ページ)
出社回帰を進める企業は少なくない。「公平性を保つため」という理由は、一見すると誰もが納得しやすい大義名分だ。しかし、この判断は本当に公平なのか。
本当の公平とは、同じものを配ることではない
公平と平等は、似ているようで全く違う。平等とは、全員に同じものを配ることだ。公平とは、それぞれに必要なものを届けることだ。
一律出社は、平等の考え方には合っている。しかし、公平の考え方には合っていないと私は思う。事情が異なる人に同じ条件を課すと、結果として別の不公平を生んでしまうことも多いからだ。
もちろん、出社組とテレワーク組の間に生まれる不満を、放っておいていいわけではない。雑務の分担ルールをはっきりさせる、電話応対を輪番制にする、時差出勤を組み合わせる。こうした工夫で、不公平感そのものを和らげるのだ。方法はいくらでもある。
在宅での仕事だと生産性が悪くなる、というのなら、そうならないようにするための管理指標を作ればいい。オフィスに出勤すれば、自然と生産性がアップするという理屈は、あまりにも短絡的だ。
働き方を自由にする分、社員が意識すべき指標が細かくなるのは仕方がないことだ。正しいマネジメントをすれば、もっと柔軟な働き方は実現するはずだ。
以前「出社義務」になって、ほとんどテレワークしかしてこなかった3年目の社員が、こう言っていたことを思い出す。
「オフィスに来てみたらビックリ。たばこを吸いに行って10分も20分も返ってこない先輩たちがいた。それも1日に1回や2回じゃない」
「顔を見ると、すぐ『打ち合わせしたい』と言ってくる上司にも困っています。ほとんど意味のない打合せなんですよ」
本当にオフィスに出勤したら、生産性は上がるのか? それは管理者たちがラクしたいからではないのか? 生産性を管理するための手立てを思いつかないだけだからではないのか? これらの問いについて、ぜひ考えてもらいたい。
本当に取り組むべきは、一律のルールを作ることではなく、それぞれの事情に応じた柔らかい仕組みを用意することだ。多様性の時代には、まさにこの姿勢が求められているのではないだろうか。
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