冷蔵で十分売れていたのに、なぜ「常温」? 「イシイのミートボール」が広げた新市場(3/4 ページ)
冷蔵のロングセラー商品があるのに、なぜ石井食品は常温ミートボールを投入したのか。背景には、防災をきっかけに「食べる場面」を広げる狙いがあった。ベビー用品店など新たな販路を開拓した戦略を探る。
弁当から晩酌へ 子育て世代の「夫」に注目
これまでの石井食品の商品の購入者は、子育て世代の女性が中心だったが、2026年4月に販売した「おつまみミートボール」では、彼女たちの「夫」をターゲットにしている。
同社では以前から、ミートボールを酒のつまみにする人がいることを認識していた。2024年からミートボールを使用したおつまみレシピを募集するキャンペーンや、居酒屋とのコラボレーションを通じて需要を探り、新商品の発売に至った。
「主にミートボールを買ってくださるのは、30〜40代の子育て世代の女性です。その旦那さんにも食べてもらいたいという考えがありました」と池田氏。
子どもの弁当用として家庭に浸透してきたミートボールを、今度は夫の晩酌のつまみとしても提案する。新規顧客を一から開拓するのではなく、すでに商品と接点がある家庭の中で、食べる人を増やす狙いだ。
実は「おつまみミートボール」の中身は、「いつでもミートボール」と同じだ。つまみ用だからといって、辛味を加えたり、味付けを濃くしたりはしていない。池田氏は「お子さまも食べられて、大人はおつまみにもできる。家族で一緒に食べられることを大切にしました」と話す。
変えたのはパッケージと見せ方だ。パッケージにはビールジョッキを手にした男性キャラクターを描き、上部にはフックに掛けられる穴を設けた。酒売り場の近くのラックに「おつまみ」として並べられるようにし、これまでとは異なる売り場での展開を提案。その結果、自社のオンラインにおける2026年4月の販売実績は、当初計画していた個数の約5倍を記録した。
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