なぜ、ドンキは「ロピア」「オーケー」「トライアル」を目の敵にするのか 打ち出した「LOT作戦」の全貌(4/5 ページ)
ドンキが競合各社を名指しした「LOT作戦」を始めた。その意図は何なのか?
PPIHのLOT作戦とは?
このLOT作戦は、ドンキ創業者の安田隆夫氏が2024年に打ち出したとされています。
「ロピア」のL、「オーケー」のO、「トライアル」のTを取ったもので、これらはいずれも低価格やEDLP(Every Day Low Price=毎日安売り)を売りに積極出店を続けている、PPIHの競合のスーパーやディスカウントストアです。
この3社の特徴として、低価格を打ち出していること、各社独自の経営スタイルを持っていること、出店意欲が高く、全国各地へ出店網を拡大させていることという3点が挙げられます。まさに日本のスーパーマーケットとディスカウントストア業界を牽引(けんいん)するリーダー企業と言える3社です。
PPIHの売上規模は2兆2000億円を超え、2026年6月期予想では2兆4350億円となっています。経常利益率は7%を超え、小売業としても高い利益率を維持しています。
LOT各社と比較してもPPIHの業績は際立っています。2兆円以上を売り上げながらも成長率が高く、2025年6月期には売上高を2018年6月期の2.3倍に伸ばしています。
これだけの実績のある企業であるため、競合対策にムキになる必要はないと感じますが、LOT3社の売り上げの伸び率も大きさも無視できません。
ロピアは売り場のおもしろさ、生鮮三品の鮮度に強みがあり、新規出店している各地でも消費者の支持を得ています。オーケーはEDLPを日本で徹底している企業のリーダーであり、NB(ナショナルブランド)商品の安さはダントツで、本格的に進出を進める関西地区でも支持を集めています。トライアルはリテールテック企業として、ITを活用して需給に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」を導入するなど、機動的な価格設定に強みがあります。どの企業も店舗力が高く、PPIHも本気で対抗しなければやられてしまうという危機感があるのです。
そのため、PPIHはこの3社を競合と名指しした上で、各地で迎え撃つ作戦に出ることを宣言しました。
PPIHはこれらの競合各社に対し、以下のような脅威を感じ、対抗の切り口を考えていると思われます。
ロピアに対しては、生鮮、総菜、食品PB(プライベートブランド)の開発で対抗するため、MEGAドンキやユニーのピアゴ業態を業態転換させたロビン・フッドを作り、安くて楽しい食品売場にすることで対抗しようとしています。
オーケーは「競合店対抗値下げ」を行っていることからNB商品では対抗しづらいため、PPIHはPB商品を強化し、独自商品開発の価格対策によって差別化しようとしています。
また、トライアルはリテールテックや24時間営業、西友店舗の業態転換などにより食品強化型店舗も増えていることから、PPIHも総合的なマーケティング施策により対抗しようとしています。
ロビン・フッドのPBである「安・得・速・楽」は、「迷わないから、パパっと買える」というキャッチコピーで、買い物を「楽」に「楽しく」するために開発されました。現在は50アイテムほどですが、2026年中に100アイテムまで拡大するとしています。
食品6割、非食品4割とした品ぞろえによって、食品で集客し、非食品で粗利を稼ぐというロビン・フッド業態を、今後トライアルとぶつかることになる関東を意識してテストしているのです。
また、SNSを活用した販促やアプリによる固定客の獲得など、総合的なマーケティング施策により対抗しようとしています。私も同社のオリジナル商品ブランド「EDRP(Every Day Real Price)」の納豆や情熱価格のビールなど、複数の商品を購入しましたが、いずれも品質レベルは標準以上だと感じました。余計なコストを抑えて商品品質を打ち出しているため、NBよりもコスパの良い商品を作っていると感じます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
PPIH、「スーパーみたいで、スーパーじゃない」新業態発表 ドンキの兄弟分として展開、狙いは?
PPIHが食品強化型の新業態「驚楽の殿堂 ロビン・フッド」を発表した。1号店を4月24日、愛知県あま市にオープンする。
ドンキの買収で復活できるか? 関東スーパーの雄「オリンピック」が凋落してしまった根本原因
ドン・キホーテなどを運営するPPIHが4月、「オリンピック」などを展開するOlympicグループを買収すると発表した。近年Olympicグループは経営不振にあえいでいた。関東圏のローカルスーパーだったオリンピックは、なぜ凋落してしまったのか。

