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英No.2のドラッグストアがECを伸ばして「店舗も拡大」できるワケ  “Z世代特有”の消費行動をどう攻略? がっかりしないDX 小売業の新時代(3/3 ページ)

英国でナンバー2のドラッグストアチェーン「Superdrug」は、さまざまな施策で成長を続けている。ここでは施策を「3つの循環」に整理し、日本のドラッグストアチェーンが学ぶべきポイントを紹介していく。

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無料会員「Health & Beautycard」は何がスゴい? 約1570万人の会員

 「Health & Beautycard」は約1570万人が登録しており、2024年には会員による売り上げが全体の60%を占めました。

 2024年の売上高である約16億3000万ポンドに当てはめると、会員が関与した売り上げは約9億8000万ポンド。1ポンド=218円換算で約2136億円です。EC単独の売り上げは非開示でも、顧客IDを介して把握できる売上規模は明確です。もはや付加的なポイントカードではなく、経営を支える顧客基盤といえます。

 筆者が店頭で「持っていないけれど、作れますか?」と聞いたところ、すぐにレジでカードをスキャンして会員になれました。アプリを含め、手間のかかる登録作業は後で良いわけです。

 1ポンドの購入で1ポイントが貯まり、100ポイントを1ポンドとして利用できます。還元率は実質1%です。還元率だけなら突出していません。

 重要なのは、会員限定価格、アプリ限定特典、誕生日特典、無料配送、学生・NHS(英国民保健サービス)職員向け10%割引など、VIP特典を同じIDにまとめていることです。

 店舗、EC、アプリ、Beauty Studioの利用が同一IDにつながれば、誰が、何に関心を持ち、どのチャネルで購入したかを把握できます。Superdrugはメール内にポイント残高や会員ステータスの進捗(しんちょく)を表示し、クリック率を11%改善した事例もあります。全員に同じクーポンを送るのではなく、次の行動が見える情報を提示した結果です。

 さらに会員データは、リテールメディア「Optimo」にも接続しています。メーカーはSuperdrugの顧客データを使ってオンライン広告を配信し、購買まで効果を確認できます。

 店頭で展開する、レジ後ろの巨大な約500台のデジタルスクリーンも広告接点になります。視察中に店内でメーカー広告が入っている様子は見られませんでしたが、注力商品を発売した際の認知目的であれば、広告が入る可能性もあるでしょう。CRMは「販促費を配る仕組み」から「メーカーとの事業をつくる基盤」へ変わっています。

日本のドラッグストアが学ぶべきこととは?

 Superdrugの成長構造は「3つの循環」に整理できます。

 まずは、SNSで発見し、店舗で試し、SNSへ戻す「Z世代向けの体験循環」です。続いて、ECで調べ、店舗で受け取り、必要に応じて施術を受ける「O+Oの購買循環」が挙げられます。最後が、会員IDで行動を把握し、個別提案と会員価格で再来店を促す「CRMの継続循環」です。

 ただし、会員価格を大きく見せるために通常価格を高く設定すれば、価格への信頼を失います。また、注文から30分での受け取りや即時配送を約束しても、店舗在庫が不正確なら体験は逆に悪化します。物販、施術、調剤、EC商品のピッキングを同じ店舗で動かすため、現場の運営難度も上がるでしょう。華やかな売り場の裏側には、在庫精度と人員配置という地味な基盤が必要です。

 日本のドラッグストアが学ぶべきなのは、明確な主要顧客を定め、店舗にしかできない体験をつくり、その行動を一つのIDでつなぐことです。アプリ、店舗、EC、ポイントを別々の施策として管理している限り、O+Oにはなりません。

 Superdrugが増やしているのは店舗数だけではありません。顧客がオンラインとオフラインを往復する理由を増やしています。それが成長を続ける本当の要因です。

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