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「すし職人をAI開発の輪に入れろ」──オードリー・タンに聞く、米中AI競争で日本が勝つ道(3/5 ページ)

米中が超巨大モデルの性能を競う中、日本の遅れが指摘されている。だが戦場がクラウドから「物理世界」(フィジカルAI)へ移れば、日本の現場力が一転して強みとなる。台湾の元デジタル担当大臣オードリー・タン氏は「勝つために究極のAIは不要。すし職人や漁師など現場の人間をAI開発のループに入れよ」と提言。2030年に19兆円規模に達する市場で、シリコンバレー主導のルールを破り日本が勝つための戦略を明かす。

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なぜ“上からの強制DX”は失敗するのか 一元化の罠

――日本のデジタル化の進展についてお聞きします。2021年9月にデジタル庁を設立しましたが、一部では「動きが遅い」という声もあります。この点についてどうお考えですか。

 指数関数的な成長というのは、初期段階ではどうしても動きが遅く見えるものです。パンデミックの最中、日本のリーダーシップ層は「従来の『ハンコ文化』は安定した世界では機能するが、カオスのような状況下ではもっと素早く順応しなければならない」と指摘しました。

 そこで重要なのは「誰も取り残さない」ということです。慶應義塾大学の村井純教授も「デジタルは武士道のようなものだ」と話していました。つまり、テクノロジーを良いものとして使いつつ、誰一人取り残さないという精神が大切だということです。これは日本の強みだと思います。

 台湾も同じですが、単にテクノロジーをデザインして、そのループに入るよう人々に強制することはできません。日本でも台湾でも、そうした強制的なやり方はうまくいかないでしょう。なぜなら、人々は会話の完全性やプライバシーを大切にしており、政府に監視されたくないと考えているからです。支払いデータなども、誰が何を払っているか政府に全て把握されることには抵抗があります。

 ですから、他の一部の国で通用するような「一元化されたソリューション」は、日本や台湾では受け入れられません。

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