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「すし職人をAI開発の輪に入れろ」──オードリー・タンに聞く、米中AI競争で日本が勝つ道(5/5 ページ)

米中が超巨大モデルの性能を競う中、日本の遅れが指摘されている。だが戦場がクラウドから「物理世界」(フィジカルAI)へ移れば、日本の現場力が一転して強みとなる。台湾の元デジタル担当大臣オードリー・タン氏は「勝つために究極のAIは不要。すし職人や漁師など現場の人間をAI開発のループに入れよ」と提言。2030年に19兆円規模に達する市場で、シリコンバレー主導のルールを破り日本が勝つための戦略を明かす。

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SNSの分断に企業はどう勝つか 自社AIに組み込む「日本型バランス感覚」

――SNS上で似た意見ばかりに触れることで自分の考えが正しいと思い込む「エコーチェンバー」など、ソーシャルメディアの問題がより深刻になっています。企業はこの問題にどう向き合えばいいのでしょうか。

 ソーシャルメディアの悪影響によって、今の米国では社会やコミュニティーの「分極化(分断)の濃度」が異常な高水準に達しています。環境問題におけるCO2(二酸化炭素)濃度になぞらえて表現されるほどで、まさに毎分毎秒、人々の分断と対立が激化している状態です。

 オープンなソーシャルメディア上では、過激で攻撃的な言葉ほど拡散されやすく、企業もまたその不毛な「軍拡競争」や炎上リスクに巻き込まれがちです。一方で、日本市場にはまだ冷静な対話が成り立つ状況が残されています。

 企業が学ぶべき解決策は非常にシンプルです。それは、日本で培われてきた「多角的な視点を尊重し、偏りを避けるバランス感覚」を自社のコミュニケーションやテクノロジーに組み込むことです。

 例えば、社内で運用する顧客対応AIや社内用AIエージェントに対し、一方の過激な意見に偏らない「多様な視点を考慮するトレーニング」を施す。このバランス感覚をAIに学習させれば、極端な声に流されず、多様な価値観を持つ顧客や社員と誠実な関係を築けるようになります。アルゴリズムの分断に飲み込まれず、対話の多元性(プルーラリティ)を重んじる姿勢こそ、AI時代の企業に求められる真の強みなのです。

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