イーロン・マスク「2036年、お金は要らなくなる」は本当か? 人間が労働から解放される説を歴史から考える:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/4 ページ)
イーロン・マスク氏の「誰もが思いつくものを何でも手にできる、驚くほど豊かな時代が来る」という発言は本当に実現するのか?
筆者プロフィール:古田拓也 株式会社X Capital 1級FP技能士
FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックスタートアップにて金融商品取引業者の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、広告DX会社を創業。サム・アルトマン氏創立のWorld財団における日本コミュニティスペシャリストを経てX Capital株式会社へ参画。
「誰もが思いつくものを何でも手にできる、驚くほど豊かな時代が来る」
2026年7月下旬に公開された英エコノミスト誌の取材で、イーロン・マスク氏は10年後の2036年の姿をこう述べた。マスク氏は「AIは5年ほどで人間の知能の総和を超える可能性がある。そして、2036年にはお金は意味を持たなくなる」と予測しており、各紙もその発言を大きく報じている。
しかし、これは突発的な発言ではない。マスク氏は2024年5月、パリで開催された欧州最大級のテックイベントで「おそらくわれわれの誰もが、仕事を持たなくなる」と語り、「仕事は趣味のようなものになる」と述べていた。また、2025年11月にワシントンで開かれた米サウジ投資フォーラムでも、「どこかの時点でお金は意味を失う」と話している。
今回の発言で新しいのは、「10年後」という具体的な時間軸を示したことだ。
マスク氏はこれまでも、ユニバーサル・ハイ・インカム(AIやロボットによる豊かさを前提に、政府が全国民に高水準の所得を保障する構想)を主張してきた。今回の予測は、その延長線上にあると言えるだろう。
実は、こうした考え方は決して新しいものではない。技術が劇的に進歩した産業革命以降、技術が人間を労働から解放するという未来は、たびたび予言されてきた。
マスク氏の言う「お金が意味を持たなくなる世界」は、本当に10年後に実現するのか。これまで技術革新がモノの価格や労働をどう変えてきたのかを振り返りながら考えてみたい。
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