2015年7月27日以前の記事
検索
連載

イーロン・マスク「2036年、お金は要らなくなる」は本当か? 人間が労働から解放される説を歴史から考える古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/4 ページ)

イーロン・マスク氏の「誰もが思いつくものを何でも手にできる、驚くほど豊かな時代が来る」という発言は本当に実現するのか?

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

技術は「価格」を破壊してきた

 まず、マスク氏の予測を考えるうえで参考になる事例を紹介したい。

 かつて「夜の明かり」は「富の象徴」だった。しかし、照明技術が鯨油から石炭ガス、灯油ランプ、白熱電球、蛍光灯、LEDへと進化するにつれ、夜の明かりは「誰もが当たり前に享受できるもの」に変わっていった。


技術の発展により、夜の明かりは誰もが当たり前に享受できるようになった

 ノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・ノードハウス氏は、明かりの値段を数千年にわたってたどった研究で知られる。

 その研究によれば、1000ルーメンの光を得るために必要な労働時間は1800年には約5.4時間だったのに対し、1900年には0.22時間、1992年には0.00012時間にまで減少したという。金額ベースで見ても、1800年には1000ルーメン当たり785ドルだったが、2018年には23セントと、99.97%も下落した。

 現代では、照明費用が生活を左右するほど大きな負担だと感じる人はほとんどいないだろう。かつて富裕層しか十分に享受できなかったものが、技術革新によって誰もが当たり前のように手にできるようになる。マスク氏の言う「驚くほど豊かな時代」は、少なくとも一部の財についてはすでに実現しているのである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る