なぜ、牛丼チェーンは“牛丼以外”で勝負するのか すき家、吉野家、松屋、それぞれが狙う新たな市場とは?:小売・流通アナリストの視点(4/6 ページ)
牛丼チェーンが相次いで牛丼以外の業態に進出している。その狙いは何なのか?
ラーメン事業に注力するワケ
この状況下で、吉野家HDと松屋フーズHDの両社が注力しているのがラーメン事業だ。この2社が相次いでM&Aを実施したこともあり、牛丼チェーンによるラーメン事業への進出が話題になった。
ただ、実はラーメンに注目しているのは牛丼業界だけではない。
外食業界約30社の、2021年以降の主なM&A実績をざっくり抽出してみると、「麺類」と「海外」という2つのキーワードが見えてきた(図表4)。
人口減少や高齢化により、国内外食市場の中長期的な縮小が避けられない中、海外進出につながるM&Aが増えることは理解できる。しかし、なぜラーメンなのかと疑問に思う人もいるだろう。
ただ、新事業を開拓する際の条件を整理してみると、納得のいく理由が見えてきた。市場規模と成長性、競争環境、海外市場の可能性という3つの要因で検討すると、ラーメンは合理的な選択肢だったのである。
図表5は、ラーメン市場の規模の推移と競争環境を示したものだ。ラーメン市場は8000億円弱の規模があり、これまで着実に成長してきたことが見て取れる。また、ハンバーガー、牛丼、カレーなどの寡占化が進んだ業態と比べると、ラーメンは寡占度が低く、シェアが分散していることが分かる。
また、ラーメンを目的に訪日する観光客も増えており、日本で体験した味を海外でも求める需要が生まれている。
つまり、ラーメンは一定の市場規模と成長性があり、寡占度が低いため参入の余地も大きく、海外展開の可能性も高い分野と言える。そのため、外食企業にとってラーメンは、新たな事業の柱を作る上で有力な業態となっているのである。
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