一時は“倒産寸前”だったのに――元ネジ製造の町工場で、1人の採用枠に「350人」が殺到する理由(2/3 ページ)
1人の求人に350人が応募する町工場。その背景には、一見バラバラな6事業を結び付ける独自の経営戦略があった。友安製作所の事業シナジーと組織づくりを探る。
1人の採用枠に350人が殺到
全ての業務を内製化するには、当然ながら多種多様なプロフェッショナル人材が必要になる。採用難が叫ばれる中小企業において人材確保は難所だが、友安社長は「人材確保に困ったことがない」と話す。
溶接工を募集した際は、1人の枠に350人以上の応募が殺到した。面接に来た求職者に志望動機を聞くと、皆が「なんだか楽しそうだから」と答えたという。
「抽象的な答えかもしれませんが、それがすごくうれしかった。私たちが目指しているのは『クラブ活動の延長線上』のような組織です。同じゴールに向かって、みんなでワクワクしながら仕事を楽しむ。その姿勢が社外にも伝わっているのだと思います」
毎年5000〜7000人を動員する自社イベント「友安製作所フェスタ」やSNSでの情報発信がファンを生み「求人が出たらすぐに応募したい」という人を増やしている。
「新卒懐疑派」な社長が考えを変えたワケ
同社は毎年3〜5人の新卒採用を継続している。友安社長は「中小企業は即戦力を採用しなければ厳しいので、どちらかと言えば“新卒懐疑派”でした」と明かす。
その認識を一変させたのが、新卒1期生たちの存在だった。
「新卒の一番の魅力は、会社のカルチャーや理念に深く共感して入社してくれる点です。根幹の理念が共有できているため、業務において『なぜこれを行うのか』という説明にかかるコストを大幅に抑えられます」
企業文化を素直に吸収し、即戦力へと成長していく若手の姿は、ベテラン社員たちにも良い刺激を与えた。理念を体現する若手が育つことで、社内のカルチャーはより強固になり、世代間の分断のない好循環が生まれている。
また、同社には米国や英国、イタリア、ロシア、ミャンマーなど、さまざまな国・地域出身のスタッフが在籍している。
高校時代から米国で育ち英語が堪能な友安社長をはじめ、社内に英語を話せるスタッフが多いことも背景にあるが、何より同社が「外国籍クリエイターの受け皿」となっている点が大きい。
日本では、高い能力やスキルを持った外国籍人材であっても、活躍できる職種が語学講師やホテル、輸出入業務などに限定されてしまいがちだ。特にクリエイターは、言語による壁があり、就労に苦労する傾向があるという。
しかし同社では、プログラマーや動画クリエイター、フォトグラファー、インテリアデコレーターといった専門性の高いクリエイティブ職として、そのスキルを発揮できる環境を整えている。
多様な職種や個性が集まりながらも組織がバラバラにならないのは「Tomoyasu Way of Life」という10の行動指針を示しているからだ。平均的な人材を求めるのではなく、一人一人の個性を尊重しながらも、共通の指針に沿ってベクトルを合わせることで、一体感のある組織を維持している。
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