「全員向け」AI研修では活用広がらない? 都城市が実践、“PC苦手なベテラン”も巻き込む仕組み作り(2/2 ページ)
生成AIは導入しただけでは組織は変わらない。宮崎県都城市は「利用ログ」を分析し、現場の課題を見つけて業務改善や政策立案へとつなげている。その実践法に迫る。
全員向け研修では活用は広がらない
佐藤氏は他の自治体から「職員の生成AI利用が増えません」という相談をよく受けるという。都城市でも、職員がより業務に生成AIを活用できるようにと、数々の研修を実施している。
研修を実施する際に同市が意識しているのが「研修ごとに対象を絞る」ことだ。
「例えば、PCはあまり得意ではないベテラン職員を想像してみてください。周囲が素早くPCを操作する中で、自分だけが遅れれば、恥ずかしい思いをするかもしれない。そんな不安が研修への参加をためらわせているのではないかと考えました」
そこで、役職や年代、生成AIの習熟度が近い職員が参加する研修プログラムを設けた。これにより、参加のハードルは下がっているという。
職種別研修も、参加者が悩みを話しやすくするための工夫だ。初対面の職員が集まる全庁研修では、自分の仕事で困っていることを率直に口にしにくい。同じ業務を担当する人同士なら、前提を細かく説明しなくても、悩みを理解してもらえる。
「同じ職種なら、悩みに共感してもらえるので、率直に話しやすくなります。そこで出た声が私たちへのフィードバックとなり、次の課題解決につながっていく。この循環が、職種別研修の良さだと思います」
例えば保健師を対象とした研修では、服薬指導における薬の効用調査や、訪問記録の音声入力、外国人住民向けの説明資料作成といった活用案が出てきたという。
業務効率化の先へ 生成AIを政策立案に生かす
「生成AI活用は、業務効率化にとどまらず、次のフェーズに入ってきています」
都城市では、生成AIを目の前の業務を効率化するだけでなく、政策そのものを考えるためのツールとして活用する取り組みを始めている。
多くの自治体では総合計画を策定しているが、都城市では、計画で掲げた目標と現状とのギャップについて、生成AIに原因を複数提示させ、ギャップを埋める施策案を考えさせるといった活用を進めている。
また、他の自治体の先進事例と照らし合わせながら、戦略を検討することもある。
同市は、時事通信社の行政向けニュースサービス「iJAMP」の記事を活用する「iJAMP RAG」の開発にも協力した。iJAMPが保有する「官庁速報」のニュースデータを参照するRAGにより、正しいデータを用いて戦略立案を進めていく考えだ。
生成AIを導入しただけで、組織は変わらない。利用ログから現場の声を拾い、業務や制度を改善し続ける。その積み重ねが組織変革につながる。都城市の取り組みは、その実践例といえるだろう。
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