TBSテレビが系列局と作った「12社共生オフィス」 赤坂のワンフロアに集結した理由(2/2 ページ)
出社回帰に伴う「座席・会議室不足」や「交流不在」の課題を解決するため、TBSテレビとJNN系列12社が赤坂の1フロア1000平米に集結した。新オフィス「JNN Park!」をゼロから設計。外資系シェアオフィス時代の不満を吸い上げ、ガラス張りの開放的な空間や充実した共用設備を整備した。若手増員やモチベーション向上、系列間の共創を生み出す異色のオフィスづくりの裏側に迫る。
系列局の東京支社長とTBSが協働 オフィスを探し設計を検討
移転先を探す際には、TBSと系列局10社の東京支社長が協働して、赤坂周辺のオフィスビルをしらみつぶしにあたっていった。そして2024年の夏、赤坂パークビル15階の約1000平米を押さえられたという。2025年3月末までに移転できる見込みも立った。ただ、どのようなオフィスを作るのかについては、この時点ではまだ白紙の状態だった。
デスクやチェアをはじめとする什器の選定や、オフィス内部の設計については、全て各局の支社長や部長たちと一緒に検討を進めた。オフィス家具メーカーが実施しているオフィス見学ツアーに共に参加することで、最新のオフィス事情についても学んだ。
その中で、フロアの仕切りを極力なくし、仕切る場合も従来のような「壁」ではなく「ガラス」にする方法を知った。「オフィスが明るくなる」「コミュニケーションが活性化する」「透明性が高まりパワハラを防止する」といった効果があるという。
会議室の広さや数については、各エリアのブロック会議や、広告会社も交えた会議を開くことを考慮すると、大きな会議室(16名程度)は1つあればいいことなども分かってきた。
「当時入居していた外資系のシェアオフィスよりも支社室の面積を広げることで、社内の会議は各局自らの支社室の中でいつでもできるようにしました。それであれば、共用は6人用の会議室を2つ、4人用の会議室が2つあれば十分だと、納得してもらった上で決めました」
JNN Park!の特徴の一つでもある、オフィスに掲げた各局の「サイン」も、系列局の本社も含めて多くの社員の意見をもとに制作した。サインは局の略称とともに、それぞれの地域の名物や名産品、象徴となる人物をイラストにしたものだ。十分に時間をかけて、各局の社員が納得できるものを作り上げたという。
このような手順を踏んで、JNN Park!は2025年春にオープン。入居する局がそろった5月にキックオフパーティーを開催した。2026年2月にはさらに1局が加わり、TBSテレビと系列局12社で運営している。運用開始から1年以上が経つ中で、各局からの評判も上々だという。
「若手が憧れる職場」へ変貌 オフィスがモチベーション向上に
福島県を放送エリアとするテレビユー福島は、JNN Park!に入居して1年の間に、東京支社の人員を6人から9人へと増員した。9人のうち4人が20代だ。佐藤貴寛東京支社営業部長は、増員の背景を次のように説明する。
「増員した一番の理由は、サステナブルな支社運営を目標に、売り上げの大きい東京支社の業務を次世代に継承していくためです。以前のシェアオフィスでは全員分の席はありませんでしたが、この広いスペースを確保することによって増員が可能になりました」
佐藤部長が個人的に満足しているのは、会議室や個室ブースが充実していることだ。Googleカレンダーを使って予約するので、他社の状況も見ながら時間を決められる。会議室の数も十分にあるので、混みすぎることはないという。開放的なオフィスになっていることで、快適な職場環境になっていると話す。
「このレイアウトがいいですよね。一気に全体が見えて、開放感があって、しかも綺麗です。私たちもいろいろなところを訪問して最新のオフィスを見ると、かっこいいなと思っていましたが、そういうオフィスに近い感じです。TBSさんのご尽力で、広告会社の方々をお呼びしての勉強会も開催し、若手社員の刺激にもなっています。素敵な環境で、みんなが楽しそうに働いているこのオフィスは、若手が憧れる職場になりました。モチベーションが上がる要素になっていると思います」
JNN Park!は、JNN系列局の東京支社にとって快適な空間となった。ただその目的は、単なるオフィスを作るということだけではない。TBSテレビや系列局との横のつながりを深めるとともに、東京支社の営業力の強化も重要な目的だった。次回は、オフィスを活用した「系列を強くする仕掛け」に迫る。
著者プロフィール
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで大学問題、教育、環境、労働、経済、メディア、パラリンピック、大相撲など幅広いテーマで執筆。著書に『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)、『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書・筑摩書房)。HPはhttp://tanakakeitaro.link/
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