牛丼3社で「松屋」だけ株価2割安、最高益なのになぜ? 増資後の展望に不透明感(3/3 ページ)
なぜ松屋の株価は冴えないのか。牛丼チェーンの競合2社と比較しながら、株式市場から厳しい評価を受けた理由を深堀りする。
松屋は「一人負け」なのか?
松屋の既存店売上高は3月が9.3%増、4月が8.0%増、5月が5.3%増と伸び率を落とし続け、6月はついに4.8%減とマイナスに転落。7月も0.0%と横ばいにとどまった。
3月からの増収も中身を分解するとその実態が見える。3月の9.3%増は、客数が1.2%増にとどまる一方で客単価が7.9%増。売り上げ拡大のほとんどが客単価の上昇によるものだった。増収も過去最高益も、その多くは値上げで成り立っている。それが6月には客数4.5%減、客単価0.3%減。単価の押し上げ効果が消え、同時に客も減ったことが分かる。
では、松屋は牛丼チェーンの中で「一人負け」状態なのか? 競合2社の業績も見ていこう。
吉野家も6月は0.4%増と急ブレーキがかかったが、7月は6.5%増へ戻した。背景には7月2日に始まった「ドラゴンクエストウォーク」との初コラボが寄与した可能性が高い。本キャンペーンは、2週間ごとに切り替わるフィギュア付き牛丼セットを展開し、8月26日まで実施される。SNS上では、都心部の店舗を中心に行列が発生した様子や、フィギュアの在庫切れを伝える投稿が相次いだ。
ちなみに松屋にそういった起爆剤がなかったのかというと、そうではない。松屋も6月30日からTVアニメ『ONE PIECE』とのコラボ「夏だ!宴だ!大まんぷく祭」を開始し、肉と玉ねぎを並の3倍にした「巨人盛りセット」やオリジナルグッズの配布を展開している。7月には定番メニューが何度でも割引になる「MATSUYA PASS」も200円で販売したが、大幅な増収にはつながらなかったとみられる。
すき家はというと、既存店売上高は4月17.8%増、5月15.9%増、6月12.5%増、7月10.9%増と2桁の伸びが続いているが、これは「実力」と読むべきではない。すき家は2025年3月31〜4月4日にかけて店舗衛生対策でほぼ全店を一時閉店している。今年の増収はその反動による部分がかなり含まれていると考えられる。
つまり、松屋が一人負けしているというよりは、吉野家がコラボキャンペーンに成功したと評価すべきであり、大手チェーン3社で勝負がついたとまでは言い切れない。
問われるのは事業ではなく、ロードマップ
株式市場が松屋に問うているのは、事業構造そのものではなく、成長へのロードマップだ。増資で調達した101億円を何に使い、いつ利益につなげるのか。値上げに頼らずに客数を戻す道筋はあるのか。9期連続で据え置いてきた配当金額を、今後どう扱うのか。
最高益を出した企業の株価が下がるということは、市場からの「さらに成長する」という期待が薄れているということだ。松屋は明確なロードマップを提示し、市場の懸念を払拭できるか。その端緒は8月14日に予定される第1四半期決算に表れることだろう。
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