「辞めてほしいシニア」と「残ってほしいシニア」 企業はどこを見ているのか(2/5 ページ)
早期退職を募集する企業が増える中、「残ってほしいシニア」と「辞めてほしいシニア」は何が違うのか。大企業の組織構造や専門性を手掛かりに、企業が人材を見極める基準と、社外で活躍するためのヒントを解説する。
大企業の「ライン」という考え方
では、企業は何を基準に「残ってほしい人」と「辞めてほしい人」を分けているのか。大企業の組織を理解する上で、一つ補助線になる考え方がある。「ライン」に乗っているかどうか、という視点だ。
例えば、「財務企画部」という部があるとする。その中に複数のグループがあり、それぞれにグループ長がいる。さらにその下に課があり、課長がいる。部長→グループ長→課長と続く、この指揮命令系統がラインだ。ラインに乗っている人は、部下を持ち、組織を動かす立場にある。
問題は、同じ「部長」「課長」という肩書きでも、ラインに乗っていない人が大企業には少なくないことだ。担当部長、担当課長、専門部長といった役職がそれにあたる。名刺には「部長」と書いてあるが、部下はいないことが多い。「◯◯部長 兼 ◯◯グループリーダー」のように、肩書きがいくつも並んでいる人もいる。
大企業では、一つの部に「部長」の肩書きを持つ人が何人もいることも珍しくない。
ここで気になるのが、企業が「残ってほしい」と考えるシニアのタイプだ。大きく分けると、2つある。
1つは、王道のラインに乗った役員候補だ。まだ昇進のチャンスがあり、組織を率いる立場にある人たち。当然、企業は手放したくない。
もう1つが、ラインには乗っていないが、代替が難しい「特殊能力」を持つ人だ。
国際会計基準の負債の計算に極端に強く、それができる人が国内に数人しかいないほどの専門性。製造業なら、特定のエンジンの根幹を設計できる技術者。あるいは法務で、特定の国の法律に精通し、その国に進出する自社にとって余人をもって代えがたい存在になっている人。
こうした人材は、辞められると本当に困るため、企業も引き留めに動くようだ。給料を上げてでも残ってほしいと考えるケースもあると聞く。
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