なぜ「ほぼAI」のエイベックス・松浦noteは絶賛されたのか 発信者に問われる「その人である必要性」(2/3 ページ)
生成AIで文章作成のハードルが下がる中、評価される発信と炎上する発信の差はどこにあるのか。対照的な2つのnote事例から、AI時代に淘汰されるコンテンツと、人間にしか生み出せない「価値の源泉」を解き明かす。
「ほぼほぼAI」でも価値が落ちない松浦勝人noteの衝撃
エイベックス(avex)会長の松浦勝人氏が始めたnoteは、執筆の実作業を「ほぼほぼAI」が担っていると明かされた後も、その価値や評価が損なわれることはなかった。
松浦氏のnoteでは、「松浦勝人の人生論」と題し、貸レコード店時代から現在に至るまでの一代記が連載されている。制作にあたっては、過去の連載記事(約95万字)やインタビュー、有価証券報告書26年間分、YouTube配信など、膨大な「松浦氏固有のデータ」をAIに読み込ませているという。
ここで注目すべきは、「中身の源泉(一次情報)」がどこにあるかだ。
冒頭で取り上げた事例では、核となる専門情報が外部(他者)にあり、発信者は「AIを使った整理役」にとどまっていた。だからこそ「この人が間に入る意味」が問われた。一方、松浦氏の事例では、核となる圧倒的な経験や実績(一次情報)はすべて本人の中にあり、AIは「表現や整理という作業」を代行しているに過ぎない。
AIは「ライター」、人間は「プロデューサー」という分業
さらに重要なのは、AIに任せっぱなしにしていない点だ。松浦氏自身が初稿を全編チェックし、誤り(AIのハルシネーション)を修正し、語り口を調整している。役割分担で言えば、AIが「ライター・編集者」であり、人間が「原案者・校閲者兼プロデューサー」なのだ。文章の作成をAIが担っていても、「何を語るか」という選択と「発言への責任」は、100%人間に残っている。
ネットユーザーが見ていたのは「AIを使ったかどうか」という手段ではない。「そのコンテンツの価値の源泉はどこにあるのか」だ。AIは文章を整えることはできても、“実業家・松浦勝人の泥臭い人生”をゼロから生み出すことはできない。
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