「インクが出ない」が武器になった ゼブラがボールペンの弱点を逆転させた理由:アセットの「再定義」(1/5 ページ)
紙ではインクが出るのに、iPadでは出ない――。一見すると「弱点」に見えるボールペンの性質を、ゼブラは逆転の発想で機能に変えた。長年培った技術をデジタル時代にどう生かしたのか、開発の舞台裏を追った。
特集:アセットの「再定義」サバイバル
既存の強みや過去の成功体験が、変化の激しい現代では足枷になる――。そんな危機感を持つデジタル戦略リーダーに向け、本特集では保有資産を時代に合わせて読み替える「アセットの再定義」を徹底解剖。自社のコア技術やノウハウを新たな価値を持たせる、企業の具体策を探ります。
紙にもiPadにも、同じペン先で書けるボールペン――。紙に書くために進化してきたボールペンを、デジタル時代に合わせて再定義した製品が登場した。
ゼブラとエレコムが共同開発した「スタイラスツーウェイ」(実売価格1万6500円)だ。同じペンで紙とiPadに対応するために、既存の技術をどう生かしたのか。
スタイラスツーウェイは、紙とiPadで異なる摩擦が生じることを利用したペンだ。紙では摩擦によってペン先のボールが回転し、ジェルインクが出る。
一方、滑らかなiPadの画面ではボールが滑って回転せず、インクが出にくい。その状態でペン先がタッチ入力を伝えることで、1本のペンをボールペンとスタイラスの両方として使える。
クリップをノックするとペン先が出て、同時に電源が入る。iPadへのBluetooth接続は不要だ。本体は全長約16センチで、ボールペンとしてはやや長い。ボール径は0.5ミリ、軸色は白と黒の2色。約30分の充電で約7時間使え、インクがなくなれば替芯を交換する。
2018年以降のiPadに対応し(一部機種を除く)、画面にはガラス製のフィルムを貼る必要がある。紙のようにざらついた質感のフィルムでは、ボールが回転してインクが付く恐れがあるためだ。
ペン先を切り替えて使うタイプのペンは、市場に以前からあった。本製品には切り替える操作そのものがない。ゼブラによると、ボールペンタイプのスタイラスペンとしては、同社調べで世界初だという。
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