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食料品の消費税1%は「外食いじめ」になる? 「安くなるはず」が外食の賃上げ余力を奪うワケ(3/4 ページ)

2027年4月の食料品「1%減税」は家計の追い風となる一方、店外・店内飲食の税率差拡大や値下げ圧力により外食産業の粗利を直撃する。人件費上昇も重なる中、企業の賃上げ余力を奪う制度の「死角」を解説する。

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「仕入税額控除が減るから実質増税」のウソ・ホント

 外食業界が抱く懸念としてもう一つ、繰り返し語られてきた論点がある。

 食材の仕入れにかかる消費税率が下がれば売り上げから控除できる金額が減り、店が納める消費税額が増えるので実質増税になるのではないか、というものだ。前述のシンクロ・フード調査でも「納税負担が増す」が38.6%で2番目に多かった理由だ。

 だが、この理屈は成り立たない。

 軽減税率は飲食料品の「譲渡」に適用されるため、飲食店の食材仕入れも1%になる。つまり、納税額は確かに増えるが、支払いも同額だけ減るため影響はゼロだ。

 むしろ簡易課税を選択している小規模な飲食店にとっては、仕入税率の引き下げが追い風になる可能性がある。飲食業の簡易課税は「売り上げにかかる消費税の40%」を納付する仕組みのため、実際の仕入税額がいくらであっても納税額は変わらない。そのため、仕入れ先から軽減税率分(税率低下分)の値引きを受けられれば、仕入コストが下がり、その分だけ手元にキャッシュが残りやすくなるためだ。

 ただし、問題はその先にある。

 卸業者やメーカーが税抜価格を約7%分引き上げ、減税前と同じ価格に据え置いたらどうなるか。飲食店は支払額が1円も減らないのに、仕入税額控除だけを7%失う。これは純粋な損失となってしまう。

 つまり外食事業者の懐が痛むかどうかは、サプライチェーンの上流にいる業者次第である。減税分の値幅をどう処理するかについて決められたルールがないという事実は、家計だけでなく、飲食店の粗利にも同じ形で降りかかるのである。

最低賃金は4.9%上昇、人件費負担は増え続ける

 そして外食サービスを提供するための人件費は、税制と無関係に上がる。

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月28日、2026年度の地域別最低賃金額改定の目安を答申し、全国平均を現行の1121円から55円引き上げて1176円とする内容を示した。引き上げ率は約4.9%で、Aランクが54円、B・Cランクが56円と地方の引き上げ幅が大都市を上回る形となっている。

 外食産業は労働集約型の典型例であり、パートやアルバイトを大量に雇用している。最低賃金の引き上げ負担を、最も直接的に受ける業界の一つだ。人件費は税制がどうなろうと上がっていく。


企業における人件費の負担は上がっていく

 価格の上限(天井)が下がり、人件費などのコスト(底)が上がる。その間に挟まれた「粗利」が、どんどん押し潰されていく――。

 価格の天井を押し下げるのは「外食と食料品の税率の差」であり、コストの底を押し上げるのは「最低賃金の引き上げ」だ。減税制度そのものはコストを下げてはくれない。むしろ、減税分を価格に転嫁できないという形で、じわじわと経営を圧迫する。

 「賃上げと経済成長の好循環」を生み出す順番はシンプルだ。まず企業が「適正な値上げ」を行い、それによって生まれた「粗利」を「賃上げ」の原資にする。これ以外の道はない。

 しかし、外食を除外した形での食品減税が行われれば、働く人が多い外食産業から、このスタート地点である「値上げする権利」を奪い去ってしまう恐れがある。

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