くら寿司はなぜ「ちいかわ」に頼るのか 景品横領で見えた“コラボ依存”の落とし穴:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
くら寿司で起きた「ちいかわ」コラボ景品の横領事件。人気コンテンツとのコラボに依存する集客戦略のリスクと、外食企業が陥りかねない「コラボ商法」の落とし穴とは――。
コラボ商法の無限地獄に
もちろん、どちらも多くのファンがいる人気コンテンツではあるが、現在のちいかわ人気と比べると、爆発力という点ではやや見劣りする。その差が、6〜7月の客数の前年割れという形で表れたのだ。
一般的な外食店であれば、客数や売り上げは気候や休日の数などの影響も大きく、コラボだけに左右されることはない。しかし、くら寿司のように、毎月のように何らかのコラボキャンペーンを行っている「コラボ依存型経営」の場合、どうしても「コラボの強さ」が客数に影響しやすくなるのではないか。
2026年に客数が前年を上回った5月と8月を見ると、そう考えざるを得ない。5月は劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』とのコラボ第3弾の時期で、その後は前述した『呪術廻戦』だ。8月は前半が『ミニオンズ』で、下旬からは『ちいかわ』だ。
いずれも子どもから大人まで幅広く愛される人気作品・キャラクターであり、「客数の前年超え」に大きく貢献したと考えられる。それは裏を返せば、来年の5月と8月には名探偵コナン、ミニオンズ、呪術廻戦、ちいかわと同等、もしくはそれ以上の集客力を持つコラボ先を用意できないと、客数も売り上げも前年割れに転じてしまうということだ。意地の悪い見方をすれば、くら寿司は「コラボ商法の無限地獄」に陥っているともいえる。
このような「コラボ依存型経営」に多くのリスクが内在するのは言うまでもないが、中でも深刻なのが、現場で働く人々のモラルハザードである。
外食ビジネスというのは本来、食事のおいしさと、それを家族や仲間で楽しむ空間を提供することで、顧客に満足感を与えるものだ。この業界を志す人は、そうした仕事に価値を見いだしている。
しかし、毎月のように人気アニメやキャラクターとのコラボを行い、その限定グッズ目当てでやって来る人々への接客を続けるうちに、そうした価値観が変わっていく。
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