マクドナルドは、なぜ強いのか──背景に変化を続ける社風 人材・デジタル・オペレーションの妙:「売上高・純利益」過去最高
日本マクドナルドの業績が好調だ。同社の成長戦略を探る。
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日本マクドナルドの業績が好調だ。
2025年度通期の決算は、フランチャイズ(FC)を含む全店売上高が8886億円(前期比7.2%増)、純利益は339億円(同6.1%増)で、いずれも過去最高を記録。2026年度通期の予想も全店売上高9480億円、純利益350億円とさらなる成長を見込む。
外食チェーンとして国内最大の約3000店、約22万人のクルー(店舗スタッフ)を擁する同社。成長の要因として挙げるのが、タッチパネル式注文端末などの導入を始めとしたデジタル活用による現場オペレーションの効率化、そして「ハンバーガー大学」と呼ばれる社内の教育プログラムを通じた人材育成だ。
同社はこのほど、成長を支える「ハンバーガー大学」の中身をメディアに公開した。
外食産業の人手不足が伝えられる中、どのようにして人材を確保し、成長につなげているのか。説明会で語られた成長戦略と、記者が実際に参加したハンバーガー大学の模擬クラス体験を2回にわたって紹介する。
まずは同社の成長戦略を見ていこう。
マクドナルドはなぜ強い? 「売上高・純利益」過去最高
「5年前のアルバイトの方が戻ってくると、全く別の会社かと思うぐらい店舗の機器やオペレーションが変わっています」
こう話すのは、同社取締役チーフピープルオフィサー(CPO)の斎藤由希子氏だ。
街に溶け込むなじみの黄色いロゴマーク。見慣れた風景だが、店舗内部では大きな変化が起きている。同社は2020年代以降、ブランドの刷新やメニューの強化を図ってきた。
朝食需要を取り込む「朝マック」や夜間帯にも対応するメニューを拡充。「マックといえばお昼」というイメージから、より幅広い時間帯で利用できる店へと変化を進めてきた。
デリバリーやモバイルオーダーといった注文チャネルも多様化。タッチパネル式注文端末などを導入して効率化を実現している。
2000年代初頭、店舗数は一時4000近くまで増えたが、2010年以降、業績の低迷を受けて「戦略閉店」を断続的に実施してきた。キッチンのキャパシティに拡大見込みがなく、全ての商品を提供できない店舗や、不適切なロケーションにある店舗、不採算店舗などを閉じ、2010年代半ば以降は3000店舗前後で推移する。
この間、年間400以上に及ぶ既存店舗の改装や建て直しを実施し、1店舗あたりの売上高アップに取り組んできた。
ブランド刷新や店舗デジタル化を進めてきた2020年代以降、1店舗あたり売上高はどれくらい増えているのだろうか。
2020年12月通期は、全店売上高5892億円、店舗数は2924店舗だった。1店舗あたりの売上高を単純計算すると、平均して約2億150万円になる。2025年12月通期は、平均約2億9376万円(3025店舗、8886億円)となった。近年の値上げも押し上げ要因となり、約1.5倍に伸びている。
Uber、モバイルオーダー……「見えない注文」が急増 どう対応?
販売チャネルの多様化が進み売上高が向上する一方、新たに生まれた課題が「見えない注文」の増加だ。
これまでは昼休みなどに客が店舗レジに並べば、混雑状況を目で確認できたが、モバイルオーダーやデリバリーが増えると、店舗に客がいない時間でも注文が集中することがある。
こうした注文経路が増えたほか、注文した商品をテーブルまで届けるテーブルオーダーも加わり、店舗スタッフが対応するオペレーションはより複雑になっているという。
注文量の増加に対しては、テクノロジーの活用や、調理場を広げて従来の4倍の製造能力を持つキッチン設備の導入、デリバリーの受け取りスペースの拡大などで対応。オペレーションの負荷増には、店舗レイアウトの変更や、クルーの人材教育で対応している。
「ハードとソフトの両輪で新しいチャレンジに対応している」(斎藤氏)
クルー採用の5割が友人紹介 店舗が常連客をスカウトする例も
人手不足が常態化する外食産業だが、同社は22万人に上る店舗クルーを確保している。
直近2年間の平均で、店舗クルーの約5割が「友達紹介」による採用だという。クルーの6割は24歳以下。若いスタッフが働きやすい環境だと感じ、友人に紹介する。この循環が人材確保につながっていると斎藤氏は話す。
店舗側からのスカウトもあるという。常連の学生や主婦など、店舗の雰囲気に合いそうな客に声をかけ、クルー体験会などにつなげる流れだ。
現場発の紹介も多い。親子3代、兄弟全員が同じ店舗で働くケースもあるという。
こうした採用力を支えるため、同社は働く場としてのブランドづくりにも注力。若年層に向けてオンライン動画を活用し、アーティストとのコラボレーションなどを通じて、マクドナルドで働くことの魅力を発信している。
「マックでいいかではなく、マクドナルドで働きたいと思ってもらえるようなブランド強化をしてきました」(斎藤氏)
こうして採用した人材を育てる仕組みの中心にあるのが、冒頭に触れた「ハンバーガー大学」だ。受講は店舗のアルバイトのクルーから、店長やフランチャイズオーナーに至るまで、店舗運営に関わる全ての人を対象としている。
では、ハンバーガー大学では具体的に何を学ぶのだろうか。実際に記者が体験した模擬クラスの様子を第2回で紹介したい。
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