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上司は部下の不満を「全て対処する」必要はない 見極めるべき「2つ」の論点(1/3 ページ)

部下の不満を全て愚直に対処すると上司の時間と組織の視点は偏る。限られた時間で、本当に対処すべき問題を切り分ける2つの視点とは。

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著者プロフィール:村上 ゆかり

コラムニスト。1児の母。リクルートにて人材業界で法人営業、面接、面談フォロー実績数百件を経験。人事役員などと伴走しさまざまな人事課題に向き合う。広告業界にて5000人集客イベント企画&事務局経験、福祉業界では人事管理職として新卒及び中途採用を1人で設計から実務まで担当し年間約120人採用を達成。国会議員秘書約4年半を経験後、フリーで活動を始め、執筆のほか企業の人事採用コンサルタントなどを手掛ける。アンガーマネジメント講師。

 「部下の話は、まず最後まで聞きましょう」

 管理職研修でよく耳にする助言だ。もちろん、部下が訴えている最中に遮ったり、頭ごなしに否定したりするのは望ましくない。

 しかし、管理職の時間には限りがある。「資料の修正が多い」「他部署の返事が遅い」といった日々の不満を一つ一つ詳しく聞き、その全てに対処しようとすれば、本来の業務が進まなくなってしまう。


全てに対処している時間はない。ではどうすれば?(ゲッティイメージズ、以下同)

 部下の声に耳を傾けることは重要だが、「話を聞くこと」と「課題として対処すること」は明確に切り分けて考える必要がある。

 なぜ、上がってきた不満をそのまま対処してはいけないのか。それは、上司の耳に入ってくる情報自体に「偏り」があるからだ。

上司が聞いているのは、職場の不満のごく一部

 大前提として、職場に問題を感じた社員が、抱えている不満を全て上司に話すわけではない。部下の不満を聞くにあたっては、まずここを踏まえる必要がある。

 ニューヨーク大学の研究によると、従業員が声を上げるか、沈黙するかの判断には、心理的安全性や上司の傾聴姿勢、個人の自己効力感などが大きく影響することが分かっている。

 つまり、上司が部下から聞いているのは、あくまでも職場の問題の一部なのだ。

 毎週のように不満を持ち込むAさんと、ほとんど何も言わないBさんがいたとする。上司に持ち込まれた話だけを丁寧に処理していけば、当然、Aさんが困っている問題ばかりを処理することになる。しかし、相談を受けた情報が全てとは限らない。

 不満を言わないBさんに対して「不満があるなら、自分から言うべきだ」という意見もあるだろう。社員個人の当事者意識という点では一理あるが、組織の課題を把握するという点では、別の問題だ。組織の課題を正しく捉えるには、社員一人一人が声を上げるかどうかだけに頼ってはならない。

 上司は「誰がどれだけ強く訴えているか」で重要度を判断してはいけない。上がってきた不満は、発言者ではなく、その内容を同じ基準で見極める必要がある。

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