「経理がAI活用なんて、無理」→「作業を99%効率化」 JBCCグループ経理の新リース会計対応でおきた“意識改革”(1/2 ページ)
新リース会計基準への対応に向けて、現場に潜む契約書の洗い出しや判定作業に苦戦する企業は少なくない。JBCCグループの経理財務部門も100件超の判定作業という壁に直面した。同社はこの膨大な作業をAI活用でどう乗り越えたのか。
2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用される新リース会計基準。計上対象となるリース取引が大幅に拡大し、社内のさまざまな部門に潜むリースの把握が必要になるなど、企業の経理・財務部門には重い負担がのしかかっている。
ITサービス業のJBCCグループの経理財務を担うJBエキスパートの計画管理チームは、独自開発したAIツールを用いて新基準への対応に取り組んでいる。人力では1件当たり3時間かかっていた契約書の判定業務を2分に短縮。99%という業務効率化を実現している。
「取り組みの当初、メンバーたちは『AIでなんてできません』『無理です』と活用に後ろ向きでした。それが今ではさまざまな業務において『AIにやらせてみたらどうなのか』といった声が聞こえてくるほど、思考が180度変化しています」
そう話すのはプロジェクトをけん引した計画管理 会計管理 本部長の星田拓郎氏だ。チームの意識を変えた成功体験の裏側と、経理業務におけるAI活用の今後の展望について聞いた。
「3時間→2分」へ 99%効率化を実現したプロジェクトの泥臭いスタート
「新基準の適用が決まったと聞いた時、影響範囲がどれくらいになるのかの見通しが全く立たず、組織内に不安だけが広がりました」
星田氏は、当時のリアルな心境をそう振り返る。特に厄介だったのが、社内のあらゆる部門に潜む「隠れリース」の存在だ。どれだけの隠れリースが存在しているかの見当が付かなければ、貸借対照表(BS)にどれほどの影響を与えるかも分からない。
星田氏は新基準に対応するメンバー4人と共に、2027年4月の適用開始に向けたロードマップを策定。見えない不安を解消するファーストステップとして取り組んだのは、泥臭い対話による隠れリースの洗い出しだった。
「全グループ社員向けの掲示板に告知をして、それぞれの組織から隠れリースを拾い上げる方法も考えました。しかし、会計の専門的な話は、単に通知しただけでは現場には伝わりません。そこで、関連しそうな部署に当たりを付け、丁寧に説明会を開いて回りました」(星田氏)
現場の協力を得て帳票やヒアリングから抽出を進めた結果、判定すべき契約書は100件以上に上った。
ここで問題となったのが「時間」の壁だ。複雑な会計基準と照らし合わせながら、不慣れな契約書を読み込んで判定する作業は、人力で行うと「1件当たり3時間」ほどかかることが分かった。このままでは、とてもではないが適用開始に間に合わない――危機に直面した星田氏らが検討したのが、AI活用だった。
「AIに丸投げ」で挫折 失敗から導いた「9ステップ分解法」とは
AIの活用を検討したものの、その道のりは平坦ではなかった。
「最初はAIに会計基準などの情報を全て入れ込み、契約書もそのまま読み込ませて“丸投げ”しようとしました。しかし、データ量が大きすぎてAIがパンクしてしまい、一度は断念しました」(星田氏)
しかし半年後、AIの進化を背景に再挑戦を決意する。さらに追い風となったのが、社内でAI活用促進プロジェクト「J-AInnovation」が始動したことだった。
J-AInnovationは、AIを前提とした働き方・業務変革をJBCCグループ自ら実践し、その知見をクライアントのAX支援に生かす取り組みだ。業務部門を中心とした全社でのAI活用を、エンジニアチームがサポートする。新リース会計基準への対応においても、計画管理チームとエンジニアがタッグを組むことにしたのだ。
さらに、“丸投げ”での失敗を生かしてアプローチを変えた。業務プロセス全体を9つのステップに分解。その中で、特に負担がかかっていた「対象データの特定」「契約書の内容整理」「一次判定」という、AIが得意とする“集約・要約”の3ステップに絞って、AIに任せることにしたのだ。
エンジニアの協力を得たことで、開発はスムーズに進んだという。
「私たちから『判定にブレがある』などの課題をエンジニアに伝えると、翌週には修正版が上がってくる――このようなサイクルを素早く回すことで、たった1〜2カ月で実用化レベルに達しました」(星田氏)
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