JALグループ、コールセンターに眠る「200万件の声」 AIで“検索できる宝”に変えた地道なDXの裏側(2/2 ページ)
年間4600万人以上が利用するJALグループでは、予約データやコールセンターの音声など多大なデータが蓄積する。現場の課題に寄り添うデジタル部門は、これらをAIでどう分析し、業務の変革につなげようとしているのか。
約200万件の音声データを検索可能に AIを活用したデータ変換
もう一つの課題が、コールセンターの音声データ活用だ。JALグループには、マイレージ、予約・発券、カード、ツアーなど複数のコールセンターがあり、年間約200万件の電話を受けている。
音声には顧客の本音や業務改善のヒントが含まれる。しかし、全ての録音を聞くことは難しく、検索や分析もしやすい状態ではなかった。
データ活用推進グループ チーフの川名優輝氏は、現場との対話から見えてきた課題として、個人情報の保護、リアルタイムでの課題の把握、FAQ改善の3点を挙げる。
コールセンターでは本人確認のために個人情報を聞き取るため、音声データの取り扱いに注意を要する。また、新サービスに対する顧客の反応や意見の変化をすぐに把握することも難しかった。顧客が自己解決できず電話に至った原因を調べるには、個々の音声を確認する必要があった。
同社はこれらの課題に対し、Snowflake上で音声データを処理し、分析可能なデータへ変換する仕組みを検証した。音声データを文字に起こし、要約や個人情報の除去、問い合わせ内容の分類をすることで、これまで扱いにくかったデータを検索や集計の対象にした。
個人情報の除去や日本語での要約、分類には、AIへの指示文を工夫するなどの調整をした。
同社は今後、増え続ける録音データを自動で処理できる仕組みを整え、同様の課題を抱えるグループ内のコールセンターへの横展開を目指すという。
JALグループが描く「業務で使える」データ活用の未来
吉岡氏は、現場起点のデータ活用を進める上で、デジタル担当者の役割について次のように語る。
「大切なのは、現場と同じ目線を持つ伴走者になることです。自ら業務を知る努力をして、誰にでも分かる言葉で対話するなど、コミュニケーションの工夫の積み重ねが信頼関係を築く土台になってきます」
現場が持つビジネス知見と、デジタル部門が持つデータの知見を組み合わせる。さらに、デジタル担当者が最新技術に挑戦するマインドを持ち続ける――JALグループは、こうした現場との関係づくりと技術の検証を重ねながら、データを業務で使える環境の整備を進めている。
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