優秀な社員だったのに――なぜ「静かな退職」をするのか、どうしたら救えるか:AI・DX時代に“勝てる組織”(2/3 ページ)
指示通りに動くものの、最低限の仕事しかしない「静かな退職」。では、静かな退職状態になった社員は、二度と会社に対して心を開かないのか。本稿では、静かな退職が広まった6つの要因と実際に心を閉ざす「6つのペルソナ」をひも解き、健全な貢献を取り戻すための「5つの復活ジャーニー」を提示する。
静かな退職に至る「6つのペルソナ」と心のジャーニー
先述したマイナビキャリアリサーチLabの調査では、静かな退職のきっかけを「評価不満タイプ」「不一致タイプ」「損得重視タイプ」「無関心タイプ」の4つに分けています。
実務上においてマネジメント層がこの事象を的確に把握するためには、これに「バーンアウト防衛型」と「組織不信型」の2つを加えた「6つのペルソナ」として捉えるのが有効です。彼らは最初から静かな退職者だったわけではありません。それぞれに固有の「心を閉ざすまでのジャーニー」(心理的軌跡)が存在します。
ペルソナ1:評価不満型の若手・中堅
・初期状態:最初は非常に前向きです。上司に指示された以上の仕事をこなし、会議では積極的に改善提案を行い、難易度の高い案件にも自ら手を挙げます。
・ジャーニー:しかし、評価面談で「君の頑張りは認めるが、まだ経験が浅いから」「今回は部門の相対評価の都合でタイミングが悪い」などとあいまいな理由で正当な評価が見送られます。昇給も限定的です。ふと周囲を見渡すと、目立たずに定時で帰り、新しいことに挑戦しない先輩社員と大した待遇差がないことに気付きます。
・結末:「努力と報酬がひも付いていない」という認知が確固たるものとなります。その結果、怒りではなく静かな「冷却」の感情を抱きます。会議で発言しなくなり、余計な提案は控え、後輩の相談にも最低限しか乗りません。仕事は正確にこなしますが、会社に対して感情の投資をやめてしまいます。
ペルソナ2:不一致型の異動ミスマッチ人材
・初期状態:特定の専門分野(営業、マーケティング、開発など)で専門性を磨くことにやりがいを感じており、キャリアの方向性が明確にあります。
・ジャーニー:ある日突然、人事主導の「会社都合」によって、希望しない部署(例:畑違いの管理部門など)に配置転換されます。「なぜ自分なのか」「この経験が将来どう生きるのか」と問うても、上司からは「会社員だから仕方ない」「全体最適だ」という説明しか返ってきません。
・結末:最初は適応しようと努力しますが、仕事の意味が見出せず、強みも生かせません。やがて「この会社では自分のキャリアは自分で守るしかない」と見切りをつけます。社内での新たな挑戦を放棄し、残存エネルギーを退社後の外部学習や転職活動へとシフトさせます。
ペルソナ3:損得重視型の合理主義者
・初期状態:このタイプは、必ずしも会社への不満が強いわけではありません。仕事を「生活を維持するための単なる収入源」と極めてドライに見なしています。
・ジャーニー:昇進しても責任と残業が増えるだけで、賃金差が小さいという構造を冷静に見透かしています。副業、投資、趣味、家庭での役割のほうが、人生における優先順位が高いのです。
・結末:このタイプに「もっと仕事に情熱を持て」「組織のために汗を流せ」と精神論をぶつけても一切響きません。求められたタスクはきっちりこなすため、会社ができるのは熱意を要求することではなく、職務成果・報酬・期待値を明確に設定することです。安定した成果を出しているなら、無理に“熱血化”させる必要はありません。
ペルソナ4:無関心・安定遂行型
・初期状態:キャリアアップや管理職への昇進に関心がありません。仕事自体は嫌いではないものの、人生の中心に置く気もありません。大きな変化や挑戦よりも、日々のルーティンが平穏に終わることを好みます。
・ジャーニー:劇的な変化はありませんが、環境が変わってもひたすら「現状維持」を貫きます。このタイプは会社にとって必ずしも悪ではなく、むしろ定型業務を安定して担ってくれる重要な存在でもあります。
・結末:ただし、DXの推進や事業転換など、組織が急激な変化を迫られているフェーズにおいては「新しいツールを覚えない」「今までのやり方に固執する」という形で学習を停止してしまうため、静かな退職がそのまま組織のリスクとなる場合があります。
ペルソナ5:バーンアウト防衛型の元ハイパフォーマー
・初期状態:以前は間違いなく組織のハイパフォーマーでした。責任感が人一倍強く、同僚のミスをカバーし、チームの穴を率先して埋めてきました。
・ジャーニー:慢性化した過負荷、終わりの見えない休日対応、上司からの「君にしか頼めない」という過度な依存、そして育児や介護などプライベートの事情との板挟みにより、心身のリソースが限界に到達します。
・結末:彼らが静かな退職に移行するのは「これ以上無理をしたら、自分が完全に壊れてしまう」と分かったからです。ある日突然、会議で発言しなくなり、新しい業務を頑なに拒否し始めます。ここで会社が「最近冷めている」と見誤り、追加要求をすれば、即座に休職や離脱が起きます。日本ではストレスチェック制度が2015年から義務化されており、2028年4月からは労働者数50人未満の事業場にも拡大される予定です(※)。この層への対応は、意欲喚起ではなく、医療・産業保健との接続と業務量の是正です。
※参照:厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」
ペルソナ6:組織不信型のシニア・ミドル
・初期状態:長年、会社の指示に忠実に従い、滅私奉公で尽くしてきたベテラン社員です。
・ジャーニー:時代の変化とともに、経営層から突然「これからは自律的キャリアだ」「リスキリングしろ」「ジョブ型に移行する」とはしごを外されます。会社から期待されているのか、見切られているのか分かりません。若手からは「価値観が古い」と煙たがられ、上層部からは「若手に変われ」と迫られます。
・結末:表面上は従順を装いますが、内心では「今まで散々犠牲になってきたのに。もうこれ以上、会社のために余計なことはしない」と固く決意しています。この層を放置すれば、彼らが持っている暗黙知の継承や若手育成の機能が完全に停止し、組織能力が低下します。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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