「電話とFAX」が残る葬儀業でDX 葬儀・火葬・墓が変わり始めた事情:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
電話やFAXが主流だった終活産業にもDXの波が到来している。AIで故人を再現するサービスやWeb完結型の墓販売など、デジタル化は葬送文化をどう変えるかーー。
「テスラ方式」でお墓を販売
「それでは高齢者には不親切ではないか」と感じる人もいるかもしれない。だが、エンディング産業展で登壇した竹田氏によると、そうした人のためにサポートデスクを設置している。スタッフが丁寧に説明することで、高齢者でも契約できているという。
もともとシステム開発の会社を経営していた竹田氏は、霊園業界に参入した際、電話やFAXが中心というアナログな業務環境に驚くとともに、逆に「ここでDXを推進すれば、大きな成果につながるのではないか」と感じたという。そして、お墓を「テスラ方式」で販売することを思いついた。
米国のEVメーカー・テスラはショールームを展開しているが、実際にEVがほしいとなってもそこで契約はできない。購入希望者はWeb上で注文する。このテスラ方式を霊園業界に持ち込むことで、竹田氏は現地販売員、営業担当者、電話受付を置かずに、「発売からわずか5時間で180区画完売」など、古墳ビジネスを急速に拡大している。
ちなみに、竹田氏は霊園の顧客から契約、区画情報などを一元管理するシステム「REIEN CLOUD(レイエンクラウド)」も提供しているほか、2026年9月には「樹木葬の窓口」という新サービスもローンチした。
これは全国の管理が行き届いた「樹木葬霊園」を厳選して紹介するセレクトショップのようなコンセプトで、プロカメラマンが撮影した質の高い写真をふんだんに使っている。竹田氏によれば「中古車販売サイトの写真の多さ」から着想を得たという。
竹田氏は「前方後円墳」や「古墳」などについても、多くの商標登録を取得。知名度とDXを強みに、全国で100基の古墳墓の開発を目指している。霊園業界に参入してわずか2年あまりだが、エンディング産業展での講演も、霊園業界の関係者が多く訪れ、盛況だった。今後、霊園業界でさらに存在感を高めていく可能性がある。
葬儀・斎場・埋葬・供養は、亡くなった人を悼む厳粛な場であることから、どうしても「伝統」や「古いしきたり」を守る必要がある。
一方で、「変わらない」ことを重視する文化は、既得権益を温存し、さまざまな部分でブラックボックス化が進むという問題も生じる。その一例が、近年問題になっている「葬儀費用トラブル」だ。
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